【香港 訪問記】「反送中」から 「光復香港、時代革命」へ

LINEで送る
Pocket

拡大深化する香港民衆の意識

 6月から「逃亡犯条例」改正に反対する抗議活動が続く香港。街の雰囲気は、人々の様子はどんなものなのか知りたいと思い、8月末から9月はじめにかけて香港を訪れた。以下、その際に見聞きしたでき事を紹介する。  (山口協/地域・アソシエーション研究所)

荒れ模様の週末

 8月31日(土)には、この間の大規模デモを主導してきた穏健民主派団体「民間人権陣線」による集会デモが予定されていたが、警察当局がデモ申請を認めず、集会も開けない事態となった。  

運動側は「デモがだめなら」とばかりに、スローガンを唱えながら歩道を「散歩」したり、集団で賛美歌を歌って歩いたりして対抗。いつの間にか車道は人々によって占拠された。  

参加者の大半は銅鑼湾まで長距離を歩き通したが、戦闘的な「勇武派」は政府施設などが集中する金鐘地区で独自に結集し、警察との間で火炎瓶や放水車が入り乱れる激戦となった。九龍半島側でも散発的に衝突があった。  

翌9月1日(日)は、主に「勇武派」から空港進撃が呼びかけられていた。警察側が事前に警備を固めたため空港にたどり着けず、途中の路上や鉄道駅などが攻防の現場となった。とくに鉄道駅では、かなり徹底した破壊が行われ、列車運休、駅閉鎖となった。  

鉄道が攻撃対象となったのは、この間鉄道会社が中国政府の恫喝に屈服し、警察の弾圧を側面支援しているとの理由による。とくに、前日には太子駅で警察が地下鉄車内に押し入って催涙スプレーを噴射し、警棒で若者を無差別に乱打した事件があり、憤激に拍車をかけた模様だ。  

運動側の一部とはいえ、「勇武派」の戦術がエスカレートしていることは間違いない。だが、依然として政府の無策や警察の過剰暴力への批判は根強く、「勇武派」に対しても「賛成はしないが、気持ちはわかる」「そこまで追い込んだ方に責任がある」との意見が多いようだ。  

集会で唱和された3つのスローガン

9月2日(月)。香港では夏休みが終わり新学期が始まる日だが、かねてから罷工(ストライキ)、罷課(授業ボイコット)、罷市(休業)の「三罷」が呼びかけられていた。新界東部にある中文大学では罷課集会が行われ、香港全大学から集まった3万人(主催者発表)がキャンパスを埋め尽くした。  

集会の中で、折に触れて唱和された3つのスローガンを紹介しよう。「香港人、加油!(がんばろう香港人)」「五大訴求、缺一不可(5つの要求、一つも譲らず)」、さらに「光復香港、時代革命(香港を取り戻せ、時代の革命だ)」である。8月31日の行動でも、盛んに呼号されていた。  

6月に運動が始まった当初は「反送中(中国送還反対)」や林鄭月娥行政長官の辞任などが中心だったが、7月過ぎから変化が生じ、要求内容は拡大深化した模様だ。  

ちなみに、もともと「光復香港、時代革命」は、香港の「民族自決」を主張する政治組織「本土民主前線」の梁天琦が2016年の立法会議員選挙に出馬する際に用いたものである。そのため、香港政府が「独立派のスローガンだ」と非難したこともある。  

しかし、現在では元の文脈とは切り離され、失われようとする香港らしさを守るため、現状を変革するのだという意気込みとして捉えることができるだろう。言い換えれば、この時代と主体的に格闘する人々の意識の表現だ。こうした意識の行く先も含め、今後も香港の動向を注目していきたい。

LINEで送る
Pocket