トランス男性映画監督 ジュールズ・ロスカム特集 インタビュー ひびのまことさん

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第13回関西クィア映画祭

9月21日~23日に大阪とよなか男女共同参画推進センター・すてっぷで、10月18~20日に京都大学西部講堂で、性をテーマにした「第13回関西クィア映画祭2019」が開かれる。どのような作品が上映されるのか、映画祭代表のひびのまことさんに聞いた。    (文責・吉田)

ひびの‥2005年から続けてきた映画祭ですが、今回は米国のトランス男性の映画監督、ジュールズ・ロスカムの特集を行います。子どもを産んだトランス男性を描いた『トランスペアレント』(2005年)、トランスとフェミニズムの可能性を問う『トランス物語に抗して』(09年)、クィアコミュニティの日常を文学的・叙述的に描いた『クィアな仲間の作り方』(12年)を撮ってきたロスカム監督は、家族内で自身が受けた虐待と向き合い、家族との丁寧な対話を重ねる『パパのやり方』(18年)を作ります。  

この作品では、トランス差別は既に主たるテーマではなく、自身の生活の中の家族の話をしています。生きていくためにトランス差別に向き合ってこなければならなかった監督が、長い道のりを経てここまで来ました。この作品だけを観るのではなく、一人のトランス男性でもあるロスカムさんがどんなことを考えながら変化してきたのか、ここまでの旅の過程を、映画7作品を通して、ぜひ観てほしいのです。今年は、スポットを当てられる機会の少ないトランス男性に注目した特集を組み、当事者が元気になっていけるような映画祭にしたいと考えています。  

10月19日の京都会場では、ロスカム監督を招き、記念講演も行います。また、20日には日本の映画監督の飯塚花笑さんと若林佑麻さんを招き、関連特集「日本のトランス男性と映画」を組む予定です。  

その他、ケニアで上映禁止された『ラフィキ』や、チアパスを舞台にした『チュンタ』など36作品を上映します。  

人生の選択肢を 少しでも増やせれば

政治的な表現は物事を単純化してしまう側面がありますが、映画という表現は、そこにいる人々の複雑さや面倒臭さなどを含む生活をそのまま描き出すことができます。私自身もかつてレンタルビデオ屋さんで、セクシュアルマイノリティーに肯定的な映画をたくさん観て、私は一人ではないとエンパワメントされてきました。論理的な正しさより感情を動かすことで、包括的なビジョンを描き出す可能性があるのです。  

テレビにはトランス女性は多く出演していますが、それに比べ、トランス男性は目立ちません。トランス男性やFt系の人たちの経験やその声は、セクマイ/LGBTの中でも(いわゆる定番の「トランス物語」以外は)なかなかスポットが当たらないのです。  

今回のロスカム特集は、そんな中で、トランス男性にもさまざまな生き方があることに注目した、とても貴重な機会です。「男らしさ」も、人それぞれなのです。何より、トランス当事者一人ひとりが人生の選択肢を少しでも増やせれば、と思います。お見逃しなく。  

前売券発売中、収入に応じた価格設定の「サポートパス」もあります。詳細はWEBを確認。

関西クィア映画祭 https://kansai-qff.org/2019/

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