【香港】問われる国際連帯・行動 「団結香港工人市民・日本札幌小組」 小林 遥・宮澤 直人

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「逃亡犯条例改正案」抗議から現在まで

団結香港工人市民・日本札幌小組とは?  香港と中国の民主化運動に連帯する無国籍活動家集団。小林氏は、立法会占拠闘争に連帯するため渡香、宮澤氏は空港封鎖に遭遇した。

市民運動に合流する香港労働者階級 ストライキ決行を宣言

 6月に「反送中(中国送りに反対)」運動が勃発して以来、香港市民は数々の抗議活動を展開してきた。そのなか、8月5日(月曜日)に香港労働者は全香港大ストライキを行った。香港最大の労働組合連合会、「香港職工会連盟」の統計によると、ストライキに参加した香港労働者は約35万人だったという。また、警察隊の弾圧を恐れず、約29万人が7つの地区で集会を開催した。  

バス会社の運転手、ディズニーワールドの職員などの他に、約3000人の航空会社の労働者がストライキを決行したため、当日170便が欠航となった。これによって、8月5日の全香港ストライキは国際社会からの多大な注目を集めることとなった。  

8月11日に、抗議活動の現場で応急処置を務めていた女性医療従事者に警察隊がビーンバッグ弾を右目に撃ちこんだ。翌日には、香港医療従事者労働組合「2/8医護専職集会」がこの事件に抗議し、無期限のストライキを決行すると発表した。  

8月28日、「香港職工会連盟」は集会を開き、中国共産党政府の圧力の下で政治的な理由によって解雇処分を受けた20名以上の「キャセイパシフィック航空会社」の元職員たちを応援し、当該航空会社に解雇処分の撤回を求めた。  

8月29日現在、香港労働者は、8月31日までに香港政府に真の普通選挙の実施を含む「5つの要求」を認めてもらえないかぎり、9月2日、3日にストライキ&集会を再決行すると宣言した。  

自己決定権求める香港市民 「和理非」勢力と「勇武」派の連携

公平な裁判が保障されない中国大陸への、容疑者の引き渡しを可能とする「逃亡犯条例改正案」に反対するため、香港人は6月以来、「反送中」といった名の抗議活動を展開してきた。  

7月から、香港市民は逃亡犯条例の改正案の完全撤回に加えて、独立調査委員会の設置および武力を乱用した警察官の責任追及、「暴動」と認定したことの撤回、デモに参加し逮捕された市民の釈放及び真の普通選挙の実施といった「5つの要求」を香港政府およびその背後にある中国共産党政府に突きつけた。  

中国共産党政府に認められたはずの香港の「高度の自治」は、近年侵食されつつある。民主派への弾圧から、選挙や司法制度に対する破壊まで、香港および中国政府は、さまざまな手段で香港という自由都市を徹底的に抑えつけようとしている。  

中国共産党系メディアが香港民主派を「香港独立」を企んでいる輩だと認定し攻撃しているにもかかわらず、「香港独立」の主張は香港市民の間で明らかに不人気である。香港市民は、法に明記された「高度の自治」を取り戻すために奮戦し続けている。  

現在まで続いている「反送中」運動は、中心的リーダーの不在、すなわち市民たちによる自発的参加が最大の特徴となっている。民主派議員などの有名人はあくまで脇役として、名もなき一般市民たちをサポートしているだけだ。一般市民は、インターネットなどを通じて、自らの団結・共闘を実現できた。  

香港の市民運動は平和・理性・非暴力を旨とする圧倒的多数の和理非勢力が広範な市民を組織している。一方、警官隊との衝突も辞さない学生・若者を中心とする勇武派が存在する。7月1日に香港立法会に突入したのは彼らである。この二つの傾向は日本の60年安保闘争などとは異なっている。互いに戦術をめぐって非難しあったり足を引っ張りあうことはしていない。互いの戦術をうまく利用しあい尊重しあいながら、それぞれ闘っている。  

一方、香港および中国共産党政府が頼りにしている香港警察は、市民運動参加者に対して、ますます激しくなる暴力を振るってきた。8月29日現在、既に数百人のデモ隊メンバーが逮捕され、数千人の市民が警察または警察と結託している反社会的勢力の暴力によって負傷した。にもかかわらず、香港市民の闘志はまったく衰えていない。最近の実例として、8月25日夜、最前線に立っていたデモ隊メンバーが帰る途中、沙田地区「新城市広場」を通る時に、周りの一般市民に盛大な拍手で歓迎された、という感動的なシーンはインターネット上で人気の動画になっている。  

中国共産党政府が、深刻な内政問題及び台湾問題を抱えているうえ、香港市民の自己決定権を認める可能性は薄いと考えられている。最近、武装警察や人民解放軍の存在をアピールし、香港市民を威嚇する動きは多々ある。にもかかわらず、香港市民は、国際社会を味方につけようとしながら、自己決定権を求め戦い続けている。  

中国国慶節直近の日曜日、9月29日には世界同時の香港市民連帯行動が呼びかけられている。

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