【映画紹介】「存在のない子供たち」レバノン映画 女流監督 ナディーン・ラバキー(レバノン) 2018年カンヌ国際映画祭審査委員賞など受賞

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悲しみと怒りのまなざしはどこに向けられているのか!難民少年ゼイン

悲劇のどん底に見える光とは

 「僕を産んだ罪で、両親を訴えたい」―法廷でのこの衝撃的な少年の言葉で、この映画が何を描きたかったのか?が伝わってくる。ラバキー監督自ら弁護士役を演じる他は、出演者のほとんどが実際の難民だ。  

とりわけその存在そのものが難民の子供たちの過酷な状況を表現する主演の難民少年ゼインは、その名もゼイン・アル・ラフィーアというシリア難民だ。10歳そこそこの少年がレバノンまで逃れてくるまでに舐めてきた数々の辛苦、それを待ち受ける大人たちの冷淡さ、物乞いする子供たち、売られていく少女。これは決してレバノンだけで見る光景ではない。戦争と貧困、難民、国籍さえない子供たちは今も再生産されている。「僕は地獄で生きている! なぜ生んだんだ」は、この世界に責任ある私たち大人への強烈な告発の言葉だ。  

ラバキー監督はその実態を伝えるために、出演者の難民にほとんどアドリブでセリフを語らせたと言う。映画のラスト、あまりにも短い悲劇的な人生を生き抜いてきた少年はそれでも笑顔で希望の言葉を語る。 (松永了二)

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東京ではシネスイッチ銀座で公開中、8月2日から全国で公開され、大阪ではシネ・リーブル梅田で公開予定。

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