G20大阪交通規制後日談
6月28日~29日に開催された「G20(20か国地域首脳会議)」のために、27日~30日、午後1時頃まで阪神高速(阪神高速道路)などで交通規制が実施され、大阪府警は自動車の利用の自粛を呼びかけていた。それに対抗しようと、食料配達員Aさんは 期間中も普段どおりの配達を試みた。 (編集部)
1685号で予告したとおり、G20開催に伴う交通規制の中でも通常どおりの配達を行いました。自粛を迫る事前勧告を真に受けた人たちが多かったこともあり、一般道が渋滞どころか普段より少ない交通量だったため、気が抜けるくらいスムーズに仕事を終えられました。
もちろん、会議場の南港に向かうコースには検問がありましたし、現地でも配達途中に「どこに行くのか住所が分かるものを提示してください」と警察が寄ってくることもたびたび。
うっとうしいので「気になるなら一緒に来たら?」と言うと、本当に会員宅までついて来ることもありました。ただ、全般的には周囲から心配されたほどのことは何もありませんでした。
日常業務を貫徹することができたのは良かったのですが、多くの人が言われるがままG20のつつがない開催に協力したことが大きな要因だとすれば複雑な気持ちです。車内ではラジオをつけているのですが「お出かけはお控えください」、「車での外出はお控えください」と言い続けていましたし、ニュースも交通情報もG20関連がトップです。
「お控えください」のオンパレードにも辟易しますが、ニュースであたかも中国とアメリカの摩擦を議長国の日本が調整するような報道がされているのは失笑もので、そんな気も力もないのは明らか。ナショナリズムの高揚という意図が透けて見えます。
また、配達に支障がなくても損害がなかったというわけではありません。売上げの前年比では、当該週の月・火曜日分は114%と好調であったにもかかわらず、交通規制を心配され注文を控えた方が多かった金・土曜日分は93%と大幅に落ち込みました。経済が主要議題のひとつなのでしょうが、その経済とは自分たちが寄生する大手資本が獲得する利潤のことであり、私たちのような小さな企業やそこで働く人の生活など眼中にないことの証左だと思います。
日々繰り返される暮らしがこのような支配体制に対抗的であるには、どうすればいいのか? 改めて考えさせられる数日間でした。