獄中者の 感性に期待
拘置所・刑務所 在監の皆さん。人民新聞では、獄中俳句・短歌・川柳を募集しています。テーマは、在鑑生活、人間関係などは無論、監舎から思う自然、娑婆の思い出、生きづらさ、人生の総括など自由です。同封のはがきでお送りください(切手不要)。随時、紙面にて掲載します。
半年に1度、選者による批評会で、特選3首、佳作5首を選考し、賞金(5000円)をお送りします。
選者からみなさまへ
岡村(俳句):これからはじまる役割の大きさを思うと、楽しみと緊張感が入り混じった気持ちでいっぱいになります。「五・七・五」、もしくは「五・七・五・七・七」の形で託されたみなさまの言葉と思いを、しかと受け止めてまいります。
矢板(短歌):獄中にあるひとといえば、生い立ちなどさまざまな環境に育ってきたひとたちがいるのだろう。そのようなものが本当に短い限られたことばのなかに凝縮される。どれだけのものを拾いあげることができるのか不安ばかりだが、そのような出会いを愉しみたいと思っている。
乱(川柳):川柳はひとつの力であり意志である。「五・七・五」という、この短い詩のなかに込められた風刺の力は、権力のウソや偽善やデタラメなどを暴いてやまない。仕事に疲れたあとでも、川柳はつくれる。今日の時代状況を、根底から討つ川柳を、ともにめざしたい。
作品例 獄中川柳・短歌
仮釈を思わば長い月日なり
囚われて いつでも会えると目に涙
友の死に 会いにも行けぬ罪と罰
独房で 己の人生 是非を問う
釈放の われ乗せて兄 尾行切る
薄暗き アクリル板越し母の皺
泣く母や 耳をふさいで 非転向
哲学書 かかえて面会 セーラー服
夕焼けで 黒き独房 朱に染まる
猛暑日は オヤジのカミナリ 五割増し
乱 鬼龍 霞が関の経産省テント前で、原発事故を起こした権力と企業を、川柳を通して批判。川柳を書いた「むしろ旗」を掲げ、国会前に立つ。
矢板 進 詩誌「Lyric Jungle」同人。詩集『近隣のキリンとその砲身のながさ』草原詩社(2004年)。句会の司会などもつとめる。
岡村 知昭 1973年滋賀県近江八幡市生まれ。俳人。句集に『然るべく』(草原詩社)、共著に『俳コレ』(邑書林)。