【海外からのメッセージ】G20は世界を新たな金融危機にさらしている責任を問われなければならない ウオルデン・ベローさん

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10年前、ピッツバーグで開催されたG20サミットでG20諸国の政府は新たな金融危機を防止するためにグローバル金融システムの大胆な改革を実施することを約束しました。G20が約束を守れなかったために、今日、世界は次の金融危機に向かって滑走しています。グローバル金融システムのいかなる改革も実現されていません。

第一に、「大きすぎて潰せない」という問題が悪化しています。2008年に大銀行は「大きすぎて潰せない」という理由で米国政府にいって救済されましたが、いまではさらに大きくなり、ますます潰せなくなっていあす。米国の6大銀行、つまりJPモルガンチェース、シティーグループ、ウエルズファーゴ、バンクオブアメリカ、ゴルドマンサックス、モーガンスタンレーの合計では、預貯金が43%増、資産額が84%増となり、保有する預金は2008年の危機以前の3倍に達しています。リスクは2008年に銀行システムを崩壊させた時の2倍になっています。

第二に、2008年の危機を引き起こした金融商品はまだ取引されています。これには約6兆7千億ドルの住宅ローン担保保証券が含まれていますが、その価値が維持されているのは連邦準備制度理事会が1兆7千億ドル分を購入したからにすぎません。米国の銀行は総計で157兆ドルのデリナティブを保有しており、これは世界のGDPの約2倍です。これは2008年の危機が始まった時に保有していた金額を12%上回っています。

第三に、金融界の新たなスターたち、そしてヘッジファンド、投資ファンド、政府系投資ファンド、年金基金、その他の投資家のエリートたちから成る機関投資家の共同体は、タックス・ヘイブンと呼ばれる架空の事業地からグローバル・ネットワークを自由に行き来しつづけており、通貨や証券の変動から短期的利益を上げる機会を求め、あるいは株式購入の可能性に備えて企業の収益性を高めようとしています。このようなスーパーリッチのための移動タックス・シェルターに保有されている推定100兆ドルの所有は20の投資ファンドに集中しています。

第四に、金融事業者は中央銀行が供給する潤沢な流動性の中で利益を上げています。各国の中央銀行は金融危機後の景気後退を終わらせるという名目で低金利の融資を行い、その結果数兆ドルの債券が発行され、世界の債務の水準を325兆ドルまで押し上げてました。これは世界全体のGDPの3倍以上です。さまざまな政治的立場の経済学者の間で、このような債務のの累積は破滅を招くことなしに無限に続くことはできないちう一致した認識があります。これらすべての失敗が重なって、災禍の条件が形成されています。

G20は口先だけで、行動を伴っていません。G20は大きな金融機関の利益によって支配されてきました。G20は必要な行動を行わなかったことの責任と、世界を新たな金融危機の崖っぷちにさらしていることの責任を問われなければなりません。

グローバル金融システムの改革は緊急の必要性があります。また、この改革はグローバル資本主義システムのより広範な改革はまたは変革の一環でなければなりません。この改革は世界の財源を貧困と不平等の一掃と気候変動との闘いに充当することに尽力する民衆金融システムの創設を含む必要が「あります。

これらは現在の時代の大きな課題であり、私たちはそれらを実現する民衆中心の機関を作り出さなければなりません。私たちはG0ではなく世界の民衆に拠しなければなりません。

フォーカス・オン・ザ・グローバル・サウス理事会共同議長 ニューヨーク州立大学ビンガムトン校客員教授「(社会学)

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