「狭山事件」のいま
第二の「石川一雄」を出さないためにも、すべての差別をなくす運動に生涯携わっていく ――石川一雄
「無罪の人がなぜ自白するのか 市民の集い 講演の記録」は2015年4月に大阪市で開催された「第2回狭山事件の再審を実現しよう 市民のつどいin関西」を元にまとめられた。
狭山事件の自白の鑑定人の浜田寿美男さん(奈良女子大学名誉教授)は、無実の人が自白してしまうのかについて、次のように語る。警察は「こいつが犯人だ」と思い込んだ上で取り調べを行い、被疑者の自白と証拠が矛盾すると、証拠と合致する自白がなされるまで聞き続けるという。
そうして完成するのは、自白した本人が犯行の詳細を語れていない、無罪の証拠のような自白調書。狭山事件では、文字が書けない石川一雄さんが脅迫状を書いたことにされていたり、複数犯・単独犯など内容が2回も変わったりなどひどい矛盾が生じている。調書を作成する際の録音テープを検証すると、話しているのはほとんど捜査官という有様である。
こんな取り調べで、人はやってもいないことを自白してしまうのだろうか。だが、浜田さんは「警察というのはそうそう悪いことはしないだろう」と思っている人は、取り調べを受けたら、7~8割の人は自白する、と言う。冤罪が他人事とは思えなくなる1冊である。 ※書籍購入連絡先:090‐3624‐8270(狭山再審を求める市民の会・こうべ)