【映画紹介】日本軍「慰安婦」 史実を物語で再現 「雪道」上映会主催者 方 清子さん(日本軍『慰安婦』問題・関西ネットワーク)インタビュー

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日本の加害責任明らかに

5月6日、日本軍「慰安婦」問題の韓国映画『雪道』が関西で初公開された。会場は東成区民センターで、150人以上が参加した。映画は史実に基づいたドラマで、「慰安婦」にされた少女の当時と、86歳となった現在の状況を織り交ぜながら展開される。日本軍「慰安婦」の歴史を否定する声があふれて久しいが、加害の史実を忠実に再現しながら観る者をひきつける。主催の方さんにインタビューした。   (編集部・園)

韓国で大ヒット 日韓合意への怒り

 韓国では日本軍「慰安婦」をテーマとしたドラマが複数作られています。2016年に発表された映画「鬼郷」(クィヒャン)も動員370万人の大ヒットをしました。「雪道」も「3・1独立運動」から98年目に公開されました。背景には、日本政府が「慰安婦」問題の国家責任を認めないことと、特に2015年末に、当事者を無視した「最終解決」と称する『日韓合意』を発表したことへの広範な怒りがあります。  

本作も一般映画の脚本家たちが作ったものです。重い過去と現在の話をクロスさせることで、観客が映画に入りやすくされています。  

「慰安婦」否定する国・維新 問われる日本の市民

「日本軍『慰安婦』問題・関西ネットワーク」は09年に発足し、「慰安婦」問題の解決を訴える集会や街頭行動などを続けてきました。被害当事者の声から学ぶことを大切にしています。  

安倍政権だけでなく、大阪では維新の会・橋下徹が「慰安婦」の否定を繰り返し、吉村元大阪市長は「慰安婦」像の設置を理由にサンフランシスコ市との姉妹都市を解消しました。重大な事態なのに、4月の選挙で維新が圧勝したことに、強い危機感をもっています。「慰安婦」問題に対する大阪の市民の関心が低いことも、維新勝利の一因だと思います。  

私たちは7月に発足10周年集会を行ないます。韓国から被害当事者の吉元玉さんと支援団体「正義連」の尹美香代表をお呼びします。仕事でなかなか活動に参加できない若者たちの本音トークも行ないます。  

女性の人権の視点から「#Me Too 運動」ともつながりたいと思います。安倍政権の政治があまりにも酷く、取り組むべき課題が多いですが、日本が戦争加害責任を認めないことが諸問題の根源にあると思います。集会にご参加ください。

STORY 慰安婦として連行される少女たち 証言もとに制作

 映画は1944年頃の朝鮮の貧しい農村から始まる。主人公は日本軍が侵略した中国北東部=「旧満州」へ強制連行された2人の少女だ。日本の植民地支配下でヨンエは「日本」学校に通い、もう1人の少女、チョンブンは貧しく、そんな彼女をうらやましげに見つめる。  

「勤労挺身隊」に選ばれたとだまされたヨンエと、夜中に自宅に乱入され連行されたチョンブンは、大勢の少女たちが詰め込まれた汽車の中で再会する。慰安所に到着した彼女たちを待っていたのは、何十人もの兵士たちに、犯され、殴られ、蹴られる日々だった。  

「もう獣のような生活は嫌だ、死んだ方がマシだから」と嘆くヨンエを、チョンブンは「必ず生きて帰ろう」と励ます。チョンブンは「私は文字が読めないから教えてよ」とヨンエに頼む。仲間の少女たちの死を目の当たりにしつつも、2人は助けあいながら、脱出の機会をうかがう。  

ある日、転機が訪れる。日本の戦局の悪化に伴い、突如許可された外出。異変を感じた2人は極寒の「雪道」を朝鮮へと逃走する。  

そして映画の舞台は現代に。孤独と貧困の中でチョンブンはヨンエと夢で語らう。  

「あまりにも辛かった、考えずに生きてきた」と話し終えた86歳の彼女の横には、学校や地域から疎外され続けた家出少女がいる。「あなたは何も悪くない、悪いのはあいつらだよ」と少女は言い、彼女は日本大使館へと向かう。チョンブンも意を決し、あの日の「雪道」を歩いていくのだった。

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