【カルフォルニア】恐るべき気候フィードバック・ループ 翻訳 脇浜義明

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出典:『コモンドリーム』2019年2月25日

 気候温暖化に関して驚くべき新発見を『ネイチャー・ジオサイエンス』が発表した。温暖化が進展すると層積雲が完全喪失、予測温暖化に8℃加算される可能性があるという。層積雲とは地球の3分の1を覆う雲で、太陽熱を宇宙に反射し、地球が高温になるのを防いでいる。雲の喪失と地球温暖化の関連が明らかになり、大災害を招くフィードバック・ループ(悪循環)になる不安があった。  

これに関しカルフォルニア工科大学の研究者たちが、スーパーコンピューターで、低空を漂う雲の塊が消滅する状況と、その影響をシミュレーション実験した。研究結果について、科学ジャーナリストのナタリー・ウルチョバーが科学雑誌『クワンタ・マガジン』に論文「雲のない世界」を執筆した。一部を引用する。  

実験で明らかになった一つの転換点、それは温暖化が一定の水準に達すると層積雲が完全喪失することだ。大気中のCO2が1200ppmになると、層積雲が消える。1200ppm水準は、産業活動による放出が続くと一世紀後には超えうる水準である。この転換点を超えると、CO2排出から予想されている4℃上昇に加え、8℃地球温暖化が促進される。  

12℃上昇した地球を想像するには、仮に北極にワニが存在するとして、そのワニが暁新世―始新世境界温暖化極大(PETM)期の赤道直下にいると思ってみればよい。

 炭素放出を抑制せず転換点を突破すれば「本当に恐ろしい気候変動が起きる」と、実験したカルフォルニア工科大学のタピオ・シュナイダーは述べる。同誌はこの新発見を映像にまとめてソーシャルメディアで流している。  

この研究は気候に関する活動家を驚かせ、エネルギーと経済活動の見直しを「根本的に行え」という要求運動に駆り立てている。  

産業革命以降、地球大気圏のCO2量は280ppmから現在410ppm以上に上昇。国際社会が温室効果ガスを発生させる持続不可能な経済活動を続ける限り、CO2濃度は上昇し続ける。しかし、その気になれば1200ppmの転換点を回避できると言う人もいる。一方で、ペンシルバニア州立大学の気候学者マイケル・E・マンのように、「1200ppmに届かず、それに近い濃度に達してももう手遅れになる」という人もいる。

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