2018年に警察から児童相談所に通告された児童虐待数と摘発した児童虐待事件が過去最多となった。DVの専門家・山口のり子氏は受動喫煙禁止の動きを受け、「受動虐待」を造語し対処を提起した。言わんとすることには賛成だが、虐待の場合は「受動」より「間接」が適切だ▼直接の虐待およびDVを直接見せられること(狭義の面前DV)以外に、暴力がある環境にいることで受ける「子どもの被害」に注目すべきだ。暴力的な空気は家庭内にいれば伝わる。DV環境にいること自体で、安全がない生活、愛されず肯定されない生活、自信・自由・成長が奪われる生活、暴力容認意識、ゆがんだ価値観などを与えられる。▼子どもからみると、能動的虐待と同じ影響ではないので、「能動の反対語としての受動」という意味での「受動的な虐待」という言葉は不適切だ。ただし、「虐待を行う親などの加害者側」からみたとき、DV被害を受けている妻が非能動的に「虐待に加担させられる」ことは「受動的な虐待行為」と呼べる。子どもが非直接的に受ける虐待は「間接虐待」、家庭内でDV被害者が子どもへの虐待に加担させられて行う虐待こそ「受動虐待」だ。 (H)