天皇制の政治利用、身分制度、戦争責任に いち右派はこう答える
天皇制を否定する論拠、(1)政権による政治利用(2)身分制度(3)戦争責任。それらについて右派はどう考えるのか。2006年まで日本会議に所属し、今は極右支持者のめふぃ~☆さん(パフォーマー)に疑問をぶつけた。 (聞き手…谷町邦子)
――新元号発表がメディアを騒がす中、改正入管法や働き方改革関連法が施行され、内閣の支持率も上がりました。現政権は天皇制を利用しているのでは? めふぃ~☆さん・・周りの日本会議の人たちも、新元号の報道を肯定的に受け止めていません。理由は発表が5月1日の改元から1カ月早まったから。新年号のためにシステム改修を行わなければならず、新天皇即位と同時の発表だとIT産業の人たちの負担が大きいという、経済界の意向を受けての前倒しです。日本会議は自民党の意向に沿うことで内閣にポストを得ているので、前倒しを撤回させられませんでした。
新元号発表と同時に入管法や働き方改革関連法が施行されましたが、意図しているとは思いません。左翼は安倍を極右と言いますが、アメリカや経済界には逆らえないのです。強硬派といっても親米の清和会(現在は政策研究会)なので、「保守傍流」と見なしています。 ――天皇という高い身分を置くことで、被差別部落差別も含めた身分制度が温存されると思うのですが。 めふぃ~☆さん・・天皇が尊い理由は、人権や資本主義などが重要な価値である私たちの生活の外部の存在だからです。左翼は天皇を上と捉えるようだけど、私は外と捉えているんですよ。天皇以外はみんな平等なので、被差別部落に対する差別とは関係ないと思っています。
人権がなく、資本主義の価値観の中にもいない、誰とも利害関係がない存在だから、天皇は弱く貧しい人たちの心の支えになってこられたのです。都市の豊かな人たちは書物から知識を得られますが、過酷な労働や貧困のなかで、政治などを学ぶ余裕がない人たちも昔からいます。でも、「天子様がいる」という。
天皇の役割は続くことです。一部左派は天皇のお人柄を立てて安倍を批判するけど、右翼は人柄はどうでもいいのです。だから、暴君でもかまわないし、私は女性でもいいと思います。
――天皇制のもとで日本はアジアを侵略し甚大な被害を及ぼしましたが、天皇の戦争責任についてはどう考えますか。 めふぃ~☆さん・・私は今、保守でも歴史修正主義者でもないので、日本がアジアの国々に対して行ったのは侵略戦争だと捉え、西欧列強からアジアを解放しようとしたとは思いません。
一方で、私は極右支持者なので、天皇に戦争責任があると言うなら、日本人全員が朝鮮半島に向かって切腹すべきと思います。本当に責任を感じるのなら、天皇に背負わせて、後は知らんぷりというのは間違っています。
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天皇制のもとで、ある時は排除され、ある時は清掃などに使役された被差別部落の人々の歴史を鑑みると、差別は天皇制と無関係どころか、その一部である。 切腹という形で贖罪すれば、私たち一人ひとりが、何がどのように悪かったか自覚し、今後、どのように共生していくべきか考える機会を失う。
めふぃ~☆さんの語りから、天皇という超越的な存在を心の拠り所にするしかなかった人たちが存在することと、戦後の日本の社会において、アジアに対する戦争責任に向き合えず、積極的な贖罪が行われなかったことが読み取れる。
めふぃ~☆さんプロフィール
教師からの暴力で日教組に反発し、日本会議を「軍国主義に陥らない健全なナショナリズム」と捉え入会。子どもや若者を見下す選良主義的な傾向などをを嫌い2006年に脱会。