「朝鮮総連本部をさら地にする会」の手口を暴く
-「綺麗事の持ち込みは厳禁/チマチョゴリなど、現場に相応しくない服装はお断り/極左暴力集団 中核派や頭の悪さ丸出しのパヨク等、下品な人種の参加はお断り」ー
この乱暴な文は「勧進橋児童公園奪還10周年記念デモ実行委員会」が3月9日に開催した「京都・勧進橋児童公園奪還10周年記念デモ」に際して、「行動する保守運動」のHPに記した【注意事項】である。デモ、と彼らが認識しているヘイトスピーチに参加した者は4人。彼らより警備の警察官の方が多いという、異様な状況については記憶に新しい。
奇妙な【注意事項】
では、次の文にはどんな印象をもたれるだろうか。 -「一般韓国人や朝鮮民族・在日コリアン全体を敵視するような発言やプラカードは禁止します」-
実はこれも同HPに記載された【注意事項】なのだ。「朝鮮総連本部をさら地にする会」による4月15日の、第46回月例活動について書かれたもので、【注意事項】の前には、「日本人拉致被害者や北朝鮮の民衆をはじめとする、金王朝によって虐げられている、全ての人々を救う為に、金王朝や朝鮮総連と闘う行動です。日本人のみならず、在日韓国人、脱北朝鮮人など多種多様の人々が参加し協力して活動しています」と書かれており、【注意事項】の後には、「拉致問題、北朝鮮の人権問題に関するプラカード、金正恩や金王朝、朝鮮総連を敵視するプラカードの持ち込みは歓迎します」と続いている。
日本の責任
一見、ヘイトスピーチを禁止しているかのように見え、リベラルな人の中には「ひとつの意見の表明の形だ」と捉える人もいるかもしれない。
しかし、朝鮮総連は各種証明書の発行など、朝鮮籍の人の生活に欠かせない役割もあり、敵対的なデモを行うことは、一般の人々の暮らしを脅かすことが容易に想像できる。
さらに、朝鮮民主主義人民共和国の現在の政治状況には、植民地支配を行ったかつての日本にも責任はあり、朝鮮戦争を機に経済復興に弾みをつけたという歴史的事実もある。まるで悪の権化とでもいうように一方的な非難を浴びせる資格はない。
紳士的な上っ面にだまされ当事者に与えうる影響を想像しない、問題の背景を考えない。そういった思考停止が、巧妙化したヘイトを見逃してしまうのだ。