【イスラエル】トランプーネタニエフの 野心は、民衆の意志が潰す 映画監督 足立 正生

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米大統領  ゴラン高原の不法占領を追認

罷り通る  領土強奪!

米大統領トランプが、イスラエル首相ネタニエフと「ゴラン高原はイスラエル領土」との確認書を満面の笑みで取り交わした。第三次中東戦争の国連安保理での停戦決議では、ゴラン高原のシリア返還が合意されたが、イスラエルは決議を無視し続けている。それもそのはず、欧米の支援を得た中東戦争のたびに占領地を拡大し続け、全ての国連決議を無視し、占領で「得たものは返さない」拡張主義を実行しているからだ。  

歴代の米国政権は、イスラエルが望まない決議は拒否権で潰してきた。さらに、トランプは米国大使館を国際管理下のエルサレムに移転し、「イスラエルの首都」に塗り替えようとしている。その続きが今回の暴挙だ。アラブ諸国や欧州諸国も批判している。  

ロシアの「クリミア半島併合」を批判する米政権が、イスラエルの野望には必ず「OKを出す「二重基準」。この「二重基準」は、どこの誰が仕組んでいるのか?

二人組強盗の 共通の利益

国際世論を敵に回しても領土強奪を合意する、トランプとネタニエフののっぴきならない理由。それは、両国家や国民のためではなく、自己利益への誘導である。  

実はトランプは二期目の大統領選挙で、ネタニエフは首相選挙で苦戦中だ。トランプは、前回の選挙でロシアから援助を受けたという「ロシア疑惑」が晴れず、下院で多数党の民主党に追及されている。脱税疑惑もあり、次期大統領選の条件が整っていない。彼は今、最大の選挙基盤である「AIPAC」(「米―イスラエル公共問題委員会」=ユダヤ選民主義の牙城)とキリスト教福音派に「最大のイスラエル擁護者」として支持を集め、危機の挽回を試みている。  

15年間、首相の座に就くネタニエフだが、次期選挙での敗北が予測され始めた。今まで選挙で劣勢になると戦争の危機を煽り、「臨戦態勢」を敷いて愛国心を募り、凌いできた。昨年来、シリアへの空爆を繰り返して「イランの革命防衛隊がイスラエル攻撃を準備中」と緊張を作って来たが、今一つ国内世論をひきつけられていない。なぜなら、ネタニエフは7件の汚職事件で起訴されているからだ。  

したがって、両者には、何が何でも「イスラエルの領土略奪」を戦果として喧伝する必要がある。表面だけでも「中東和平を目指」してきた国際努力を反故にし、私的な野望に走ったのだ。

強盗の「中東和平ーパレスチナ問題の解決」方法

就任以来トランプは、親イスラエル派でホワイトハウススタッフを固めている。福音派のペレス副大統領、娘婿クシュナー上級顧問など、ユダヤ教のファナティックな閣僚たちが共有する原点は、世界支配の先兵イスラエルを強大化させて国際政治を操るシオニズムへの強迫観念だ。  

彼らの中東和平とは、パレスチナ全土を焼土にした上でのイスラエルによる植民地支配を指す。だから、民主的な中東和平会議は邪魔で、「三極委員会」などで秘密裏にイスラエルの軍事国家体制を強化し続け、パレスチナ自治政府への兵糧枯渇政策を強化すれば、自然と「解決」に向かうと信じ、実行している。表面ではトランプとネタニエフなどに舵取りを任せ、圧倒的な金融資本の力で対抗する者たちをねじ伏せている。  

しかし、暴虐による中東和平は可能だろうか。むしろ、逆である。米国とイスラエルの政治的・経済的な腐敗が進み、米国の一州のようになったイスラエルが米国を新植民地として従わせる逆転世界が現出するだろう。それが、シオニストたちの野望の終着点である。  

民衆の意志が 切り開く

金融資本主義社会の非人間性を嘆いているのではなく、「ユダヤ陰謀説」を唱えているわけでもない。今回の選挙で、トランプやネタニエフが負けたとしても、今までどおり誰か次の「代表」を繰り出して野望の貫徹を推し進めるだろう。

 しかし、シオニストたちが世界を我が物にしようとしても、一切見えていないもの、いや、理解不可能なものがある。それは、民衆の意志の力、エネルギーである。  

民衆は、彼らの野望の生贄にされ続けて来た。それでも、この地獄のような閉塞世界を見据え、生きるための蠢動を始めている。イスラエルの軍事国家体制の腐敗崩壊、イスラエルとの共存志向だけで民族解放を二の次にした現パレスチナ自治政府の汚職腐敗、これらは隠し切れない実態である。最早、茶番の国際政治体制や国家政府の悪あがきを許しはしない。パレスチナの「帰還への大行進」、さらに中南米の生存権の主張としての難民大行進、フランスでの反政府「黄色いベスト運動」、これらこそが民衆の意志の現れである。  

その民衆の力こそが、ヴェネズエラでの陰謀―白色クーデターのたくらみをも暴いて、シオニストと手先たちの野望を崩壊に至らしめて行くだろう。今こそ、民衆の国際連帯で、「野望」を追い詰めよう。

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