【フクシマ通信第3回】過労死遺族と連帯 黒田 節子(原発いらない福島の女たち) 

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過酷な原発作業員の待遇改善へ

「原発いらない福島の女たち」主催による『第8回 原発いらない地球(いのち)のつどい』が開催された。今年はあいにくの冷たい雨だったが、開会前にはまず福島駅前スタンディング。カッパ姿の女たちが思い思いのプラカードを掲げ福島駅前に立った。毎年来てくれるサックスのMasaが傘を広げ、「原発はいらない」や「グリーナムコモン」の曲を吹き始めると、道行く人々も好感をもって注目してくれた。遠く沖縄や九州、関西からの参加も得て60人が福島市アオウゼで合流し、フクシマの現状報告と今後の課題を共に考えた。

 集会では、三つの問題提起と特別報告が行われた。フクシマの抱える問題は、どれも広く深い。(1)日本政府は『放射能汚染ゴミ』をどのように処理しているのか、(2)放射線被ばく問題(甲状腺がん等)、(3)汚染水海洋放出問題、(4)「特別報告」―被ばく労働者遺族のお話  

その後、グループディスカッション。(4)を報告してくださった福島原発過労死遺族である猪狩さんのお話と、「福島第一原発過労死責任を追及する会」からの廃炉作業の実態の一部を報告する。  

2017年10月、作業車両の整備に当たっていた猪狩忠昭さん(57歳)が、勤務中に防護服のまま亡くなった。遺族は「過労死した夫の尊厳を守り、過労死を二度と起こしてはならない。東電および元請・下請け構造の抜本的見直しとともに、ブラック企業をなくしたい。夫の死を無駄にしたくない」と、東電など3社に損害賠償を求め提訴した。

――忠昭さんは、なぜそこまで頑張ったのですか? 猪狩さん:夫は、仲間の絆と使命感があり、廃炉作業から去れなかった。でも辞めさせてあげられなかったことを後悔し、自分を責めている。廃炉作業員は家族のいない方も多く、声をあげることも、調べることもできない。亡くなったすべての労働者の再調査を求めたい。

――廃炉の作業環境は? 猪狩さん:休日は週1日。午前4時に自宅を出て、1Fでの作業終了後退社するのは午後6時か7時。亡くなる直前6カ月の時間外労働が月110時間を超え、昨年10月、原発作業員としては初めて長時間労働で労災認定された。

 時間外労働は無給。作業員への手当もピンハネ。「いわきオール」の社長は、廃炉作業に2名を派遣(偽装請負)した利益で、ブルジョア的な生活を送っている。  

高い放射線量、全面マスクに防護服、二重の手袋。猛暑でもマスクを外せず、水分補給もできない。マスクに汗が溜まり息ができなくなる。放射能汚染された車両にもぐり込み、厚い手袋をしての作業は過酷だったはず。人員不足と作業スピードアップを掲げた工程が、追い打ちをかけた。

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会場からは、「廃炉作業で働く方がいなければ、私たちはここで生活できない。大事な仕事なのに、この扱いは酷い」「人命が、利潤追求の道具にされている」と意見が出た。  

猪狩さんは、「初めてこのような集会に参加し、多くの課題があることを知り、学びつつ立ち向かう女性たちに感動した。最終目的は『廃炉』だ。収束作業の安全のため、不備のあった医療体制などをさらに追及したい。私の中で、新しいスイッチが入った」と、力強く述べた。  

会場内では、山本宗補さんのミニ写真展も同時開催され、集会後は有志で福島市内を練り歩いて「これ以上被ばくさせるな!」「オリンピックに使うお金を被災者に!」と声をあげた。

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〈第2回口頭弁論期日〉 5月23日(木)、福島地裁いわき支部で開廷。ご注目&ご支援を!

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