パレスチナ市民が呼びかけたBDS(イスラエルボイコット)は、今や国際的インティファーダに発展している。それは、パレスチナ解放運動と米国の黒人解放運動の連帯に端的に表れている。
2018年11月28日の「パレスチナ人民連帯国際デー」で、米国テンプル大学のマーク・ラモント・ヒル教授の連帯演説は、人種差別国家=米国との闘いに基盤を置いた、当事者感覚あふれる見事なものであった。この演説にイスラエル・ロビーは激怒。
「反ユダヤ主義」のレッテルを貼り、大学に解雇の圧力をかけ、教授が出演するCNNにも圧力をかけた。大学は拒否したが、CNNはコメンテイター職から彼を解雇した。
ヒル教授は演説を「ヨルダン川から地中海の地に自由パレスチナを」という句で結んだため、イスラエルとイスラエル・ロビー思想警察はこれを「ユダヤ人絶滅を呼びかけるもの」としたのだ。
しかし、ヨルダン川から地中海までの地理的パレスチナで絶滅の危機にあり、イスラエルの民族浄化政策のために漸次的ジェノサイドにあっているのは、パレスチナ人である。
教授のいう「自由」とは、そこに住むすべての人々が宗教、人種、信条、富の差に関係なく平等に暮らせるという、解放を目指すものであって、誰かを排除するものではない。ヒル教授の連帯演説の一部を紹介する。
マーク・ラモント・ヒル教授のパレスチナ連帯演説
「黒人である私のパレスチナ連帯運動への理解と行動は、黒人解放闘争の歴史と伝統に結びついています。黒人は、奴隷反乱や逃亡から始まり、差別を正当化した黒人差別法や実体としてのアパルトヘイトに、多様な戦術・戦略で抵抗してきました。
イスラエルに非道な行いの責任を取らせる手段として、BDSを行います。BDS運動は、イスラエル軍の占領地からの撤退、イスラエル内パレスチナ国民の人権の完全実現、すべての難民の帰還権の実現を求めて生まれてきた運動なのです。
パレスチナへの連帯とは、パレスチナ問題に目を閉ざすことを許さないことです。
西側世界には、米国黒人の反アパルトヘイト運動はガンジーの非暴力思想から生まれたという神話があります。しかし、奴隷反乱をはじめ、キング牧師やガンジーの教えとは異なる、さまざまな思想、戦略、抵抗、反乱があり、それぞれ重要な働きをしました。
だから、私たちが行ったのと同じように広範で多様な闘争形態の選択肢をパレスチナ人にも認めるべきです。
占領に抵抗する権利はテロとは呼びません。もちろん平和を第一義とすべきですが、平和を理想化・物象化してはいけません。何もしない平和は暴政を許すだけです。
事あるごとに非暴力を主張し促進するべきではありますが、イスラエル国家の暴力と民族浄化に直面するパレスチナ人がそれに暴力的に抵抗したからといって、それまで非難すべきではありません。そのような狭量な「リスペクタビリティの政治」、中間階層化した黒人指導者が他の黒人に、教養ある白人のように上品でないから差別されるのだと説教する姿勢は容認できません」。(参考文献‥「ガーディアン」紙)