インド人労働者が全土で2億人ストライキ アニッシュR・M 翻訳…脇浜義明

ヒンドゥー教至上主義・極右モディ独裁政権に反旗を翻す

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 2014年に圧倒的対多数票で成立した極右ヒンドゥー教至上主義のインド人民党モディ政権。独裁政治と反労働者的政策に対して、2018年9月、全国スト。今年1月8~9日にも1億5千万人規模の全国ストが闘われた。12カ条の要求項目を掲げたが、5月に予定されている総選挙でモディ政権打倒をも見据えた政治ストであった。モディは海外メディアから「インドの安倍派」と揶揄された安倍の「お友達」政治家である。政権発足以降、ヒンドゥー教徒過激派によるイスラム教少女へのレイプ・殺害事件が多発している。スト当日に書かれたニュースを紹介する。(脇浜)

 今回の巨大ストは、インドの10大中央労組であるインド全国労働組合会議、全インド労働組合会議、インド労働組合センター、インド労働者連盟、労働組合共同センター、労働者協同組合、全インド労働組合中央評議会、労働進歩連盟、統一労働組合会議、インド全国労働組合会議が主導している。それぞれの組織はの政党と連携しているが、与党人民党と連携している中央労組インド労働組合はストに加わっていない。

 要求項目は、(1)最低月額賃金の1万8000ルピー(約2768円)への賃上げ、(2)物価上昇の歯止めと食料安定の確保、防衛産業、(3)鉄道その他の公的運輸や公的企業や、銀行、金融機関などへの外国資本算入・民営化の阻止など。さらに、(4)労働者の権利と労働組合活動を保障している現行法の改悪反対、(5)インドで圧倒的多数を占める不安定労働者の権利擁護と、(6)危機状態にある農業問題への対応も要求している。

 インドの労働人口は5億2千万人を超えるが、きちんとした企業で働いているのは6~7%で、しかも組合に組織率は2%にすぎない。組合は、公的部門の事業所に限られている。2012年に政府が行った就業・非就業率調査の最新資料によると、労働人口の62%以上が日雇い労働者だ。

 今もその状況は変わっていないが、内容に変化がある。90年代後半の農村危機以降、農民の都市流出が激しく、2011年の人口調査(最新調査)によると、都市移住農民の数は4億5千万人で、不安定な日雇い労働を余儀なくされている。

 民間シンクタンクの調査では、インドの平均賃金は月額7000ルピー(10900円)で、移住農民層では4500ルピー(7000円)。ヒンドゥー教至上主義の極右インド人民党政権のもとでは、雇用創出が低い。農村から毎年1300万人以上が労働市場へやってくるインドで、現政権が誕生した14~17年までの4年間に創出された雇用は、政府自身の計算によっても、40万人分である。18年には約1100万人の雇用が不足している。

 農業労働者もスト参加学生組織が支援

1月7日の記者会見で組合指導者は、昨年からスト予告を政府に通知しているにもかかわらず、政府からの交渉の連絡は一切ないと語った。従来インドでは労・経・公の三者会談があったが、モディ政権以降、政府は党お抱え労組BMSを相手にするだけであった。他労組も三者会談を「猿芝居」と揶揄し、政府と労組は敵対関係にある。今回のストもそういう背景で生まれたものだが、それ以上の動機もある。

 ストでインドの統治体制が混乱しているにもかかわらず、政府もメディアも知らぬ顔をしている。それでも首都と隣のハリヤーナ州では、交通労働者と公務員労働者に対して「緊急時業務維持法」が適用され、彼らのスト参加を禁止した。西ベンガル州とタミル・ナードゥ州も、ストを許可しないと布告している。

 しかし、全国で農民や農業労働者への支持が拡大、全インド農民組合や全インド農業労働者組合は「農業スト」を宣言し、支持を得ている。有名大学の学生自治会や学生組織もストを支援。労働者や農民と交流し、キャンペーンに参加している。

 今のところ平和的に推移しているが、警察と労働者の小競り合いは各所で起きている。組合指導者の逮捕も報じられている。民衆のスト支持が強い州が幾つかある。今後支配階級がどう出てくるかは、不明である。(出典… 『ピープルズ・ディスパッチ』2019・1・8)

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