【映画紹介】「華氏119」監督:マイケル・ムーア 全国で公開中 

トランプ支持者の姿から米国社会の歪みを描く

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 この映画は、トランプとヒラリーの支持者の言動を対比的に描くことで、アメリカ社会の歪みを明らかにしている。

 映画の冒頭では、支持者たちに声援を送られているヒラリーが演説に立つ場面が映される。ある支持者の女性は「もうすぐ初の女性大統領が誕生するのよ」と泣きながら話す。ヒラリー支持者は、人種差別や女性差別の解消に熱心な人たちで、社会の問題については、ポリティカルコレクトネスな考え方の枠を超えた言動はとらない。

 人種差別や女性差別が間違っていることは当然だが、大統領が差別に反対しているという理由のみで支持されるということもまたあり得ないことである。ムーア監督は、オバマの失政についても批判しているが、ヒラリーが国務長官時代に行ってきたリビアやイスラム社会への侵略行為のような悪行について批判しきれていないようにも感じた。

 一方、映画に登場するトランプ支持者の大半は、白人の男性である。トランプのメッセージは単純で分かりやすく、条件反射的に支持をしてしまう人たちが多い。彼らのトランプ当選後の高揚した振る舞いは、近年の日本でも目立つ、排外主義的な言動をまき散らす人々と同様で、差別的な人々の人間性の一面を知ることができる。

 映画の終盤ではエール大学の歴史学の教授が、ナチスとトランプ政権の類似性を指摘する。彼の懸念は、首相安倍の持つ権力がフリーハンドへと向かう可能性がある日本の民衆がもつべき警戒心と共通のものといえる。(大阪府民 森宮純)

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