【記者の眼】岐阜県で豚コレラ拡大

県の防疫体制のおそまつさが原因

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 今年9月9日に岐阜県で発生した豚コレラが拡大している。周辺で野生イノシシから感染が確認されたのに続いて、11月16日、畜産センターで二例目が発生。12月に入ってさらに感染が拡大していることが明らかになった。

 豚コレラは1992年熊本県での発生を最後に国内では感染が報告されたことがなく、2006年、日本は豚コレラの「洗浄国」としてワクチン接種を禁止している。この結果、豚コレラの接種を続けている中国、台湾からの豚肉の輸入は禁止となり、以降、豚肉の市場価格は高値を続けてきた。

 国内養豚業者にとって、市場価格の高値水準が大きな支えとなっていたことから、今回の岐阜県での発生で、養豚業界が大きな打撃を被ることが予測される事態になっている。

 さらに深刻なのは、この豚コレラの発生後の岐阜県の対応が、おそまつの一言につきる失態続きであることだ。一例目の発生後の封じ込めに失敗。8月に養豚場で異常が発生していたにもかかわらず、9月に入って農水省から立ち入り検査を指示されるまで、放置を続けて来た。

 二例目の発生は、こともあろうか岐阜市が運営する畜産センターで起こっている。感染がどこまで拡大するのか。畜産業者だけではなく、消費者にとっても注目すべき今後の展開だと言えよう。(津田道夫)

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