台風21号の高潮により関西新空港が水没してしばらく使えなくなった。大型台風が原因のように報道されたが、そうではない。この空港は地盤沈下問題を抱えており、今月までに建設当初の防波堤を2mも積みあげているにもかかわらず、波に乗り越えられたのだから「想定内」のことである▼関空の建設地が泉州沖に決まった頃、土木学会誌に重要な論文が載った。神戸の沖合で世界で初めて泥載層の地盤を埋め立てたポートアイランドの地盤沈下を調査してきた神大の教授の手によるもので、概要は以下のとおり。「従来の遠浅の海の地盤(沖載層)の柱状については、データが豊富にありどれだけ沈むかもわかっている。だが、洪積層の埋立では予想外に沈下が大きく、しかもどれだけ沈むかは不明」というものだった。そこで本紙に「関西新空港は作ってもいつかは水没してしまう。作るべきではない」と記事を書いた▼今回の万博誘致競争の過程で、関空の水没はかなりマイナスイメージだったそうだ。それはそうだろう。それを、途上国等の横っ面をカネではたいてなんとか大阪万博をひっぱってきた。だが、開催期間中に関空が水没することは十分に考えられるし、その時は万博会場も同様に水没する。(や)