【視点論点】イスラエル極右国防相リーベルマン辞職の真相 編集部 脇浜義明

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 イスラエルの極右仲良し倶楽部から、国防相のリーベルマンと「イスラエルわが家」党が抜けた。当然選挙となり、汚職疑惑に汚れたネタニヤフ首相にとって「みそぎ」のチャンスである。

 リーベルマンは、ネタニヤフがオマーンを訪問したりして中東のサウジアラビアを中心とする王朝国家に接近。カタールがカザの公務員の未払い賃金の資金として1500万ドルをガザに援助するのを許可したことや、ハマースとの休戦を命令したことなどに激怒して、辞表を出したと言われる。

 彼は、首相が第一次世界大戦に関する記念祝典で訪仏している間に、無謀にもガザ中央部に部隊を侵入させる作戦を行った。すぐに発覚、ハマースとの間で銃撃戦となり、ハマース側だけでなくイスラエル人将校も死亡した。彼は「報復」として、最近では最大級の空爆を展開、ハマース側もイスラエルへロケット弾を撃ち込み損害を与えた。リーベルマンはこれでパレスチナ人を殺せる大戦争ができると喜んだが、パリのネタニヤフがハマースとの休戦を指示、リーベルマンは完全に宙に浮いてしまった。辞職せざるを得なくなった。

 リーベルマンや彼の一派がネタニヤフの「みそぎ」選挙に反対していたことを考慮すると、これはネタニヤフの策略に彼が乗せられたと言える。

 問題の汚職疑惑はいくつかあるが、最近警察が発表したのはドイツの軍事会社ティッセンクルップ社との取引に関するもの。イスラエルが同社から特に必要としない潜水艦9艦とコルベット艦4艦を400億ユーロで購入し、それを斡旋したイスラエル人12人(その中にネタニヤフの親族、顧問弁護士、元部下が含まれている)に2%の賄賂が手数料の名目で渡される、というもの。ティッセンクルップ社はすでに同種の取引をギリシャとポルトガルで行い、スキャンダルとなっている。

 不思議なことに、この12人の中にネタニヤフの名前が入っていない。検事総長が止めたと噂されている。首相が関わっていたとなると、イスラエルにとって「神聖」な国防が政治家の私的利益で腐敗している構造がそっくり明るみに出ることを防いだのだ。ネタニヤフは他の汚職事件で起訴されるかもしれないが、選挙になれば選挙期間中は起訴を免れるし、勝利すれば国民が自分の無実を証明したと居直ることができる。

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