【ぷりずむ】

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   安田純平さんが帰還したとき、ネット空間にも政府内や報道にも彼をたたく言葉があふれた。たたく者の根拠は「自己責任論」である。それに対して安田さんは、戦場ジャーナリストの誇りを持って自己責任で行ったのだという。二つの自己責任はまったく異なる▼政府の「自己責任論」は、東電核惨事以降とりわけひどくなった。福島はいまも原子力災害非常事態宣言の下にある。それを根拠として年間20ミリSvまで容認されている。先日、国連人権理事会は、子どもや出産年齢の女性の年間1ミリSvを超える地域への帰還停止を日本政府に要請した▼これに対して日本政府は「子どもたちに限らず、避難指示が解除されても帰還が強制されることはない」と反論した。よく言うよである。日本政府は「避難は自由であるが、国は何の保障も補助もしない。すべて自己責任でやれ」ということである。年間1ミリSvを超える地域に住み続けることも自己責任だという▼日本政府が安田さんたたきを煽り、大手の報道機関もそれに同調する理由がここにある。福島のこの核汚染問題について、国民を保護する責任が国家や政府にありながら、やるべきことを何もしていないことに目がゆくことを恐れているからである。  (n)

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