10月28日の福島知事選は、現職の内堀雅雄が有効投票数に占める得票率91・2%で圧勝した。投票率は45・04%(前回45・85%)と、過去2番目に低かった。結果は、内堀雅雄:60万5467(自民・立民・国民・公明・社民支持)、町田和史2万9147(共産推薦)、高橋翔:1万4417、金山屯:8821。
前回、日銀支店長を擁立しようとして、直前に内堀に鞍替えした県議会最大会派の自民党は今回、真っ先に内堀支持の方針を出し140団体による支援体制を構築した。国民民主・立憲民主・社民・無所属の県議で構成する第2会派の県民連合も、4年前の前回知事選で内堀擁立を主導した経緯から、支持母体の連合福島と「5者協議会」を作り支援体制を作った。ここで内堀再選の流れはほぼ固まり、同時に県民の関心は薄まってしまった。
再選が決まった29日、朝日新聞福島版は、以下のような記事を掲載した。
「内堀氏は24日、福島市で開かれた総決起集会で千人の聴衆を前に『県外で今の福島を正確に伝えるときに重要なことは、光と影を両方伝えることです』と語りかけた。県は今年8月、応急仮設住宅の無償提供を終了する方針を発表した。多くの住民帰還を心待ちにする旧避難指示区域の自治体にとっては『光』かもしれない。しかし、様々な理由で帰還に踏み切れず、自らの将来を描ききれないまま避難を続ける人々にとっては、他ならぬ『影』だろう。国の『復興・創生期間』は20年で終わる。(中略)
すでに被災地支援は縮小の一途。消費増税を控え、国の予算執行に対する国民の目も厳しさを増す。高速道路無料措置や介護保険・住民税の免除など、被災者への支援措置が打ち切られる可能性もあるのに、内堀氏がそうした『痛み』を丁寧に説明し、理解を求めるために言葉を尽くしたとは、到底思えない。耳心地のいいことだけを並べて築いた安定は、福島への巨額予算という求心力を失った時、あまりにももろいということを、内堀氏は肝に銘じるべきである」。
国家の相貌が見える福島県と沖縄県の決断
2018年の日本において一番重要な地域は、日米安保体制の重圧を一身に受ける沖縄県と、原発事故と震災被害を受け放射能に汚染された故郷に帰るに帰れない県民と地域を抱えた福島県であろう。
このふたつの課題に真摯に取り組めば、「日本」という国家の相貌が明らかに見えてくる。沖縄は辺野古新基地の反対を再度県民意思で示そうと、県民投票条例を可決した。
福島は県議会で原発全基廃炉を議決して、東電の第二原発廃炉の声明まで持ち込んだ。しかし、第一原発の廃炉作業は困難を極め、事件事故が続出し、働く労働者の労災事故も多い。それに、限界に達した貯蔵汚染水の海洋放出については、韓国まで反対を表明する国際問題になっている。また、検察審査会で起訴された東電3悪人(勝俣・武藤・武黒)の誰も責任をとろうとしない答弁は、県民を再度傷つけている。
福島県知事は、全国へ、全世界へ「原発停止」を発信する、責任と義務があると私は考える。
沖縄県民も辺野古新基地反対の意思表示を無視され続けているが、福島に住む私たちも「原発はもうゴメンだ」の思いを無視され続けている。屈辱にまみれてはいられない。