【フクシマ通信】原発事故から7年半を過ぎた福島の今 あぶくま97条の会 遠藤智生

第1回福島原発の汚染水の海洋放出は論外

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私は福島第一原発から30キロ圏内に住んでいるが、被災地内外の動き─原発事故からの避難民の帰還と「復興」─が慌ただしい勢いで進められている。

 2020年の東京五輪で野球・ソフトボールの一部試合の福島開催決定や、震災・原発事故で損壊した家屋や施設の解体と復興住宅や新たな公共施設などの建設で、大きく変わってゆく街並みなどがそうだ。めまいがする思いの日々である。

 そうした福島から、定期的にレポートを送らせてもらうことになった。 最初に、事故から7年半が過ぎた福島の状況を紹介しようと思っていたが、編集部から「汚染水の海への垂れ流し問題についてなど、最新のニュースを地元の視点から紹介してほしい」との要望があったので、今回は、(1)福島原発の汚染水(トリチウム水)の海洋放出問題、(2)放射線モニタリング体制縮小問題、(3)福島第二原発の廃炉問題、について紹介することにしたい。

 現在、福島第一原発の構内には、約92万トン、タンク約680基分の汚染水タンクが立ち並んでいる。汚染水は今も増加しており、タンクに貯めこんでおける汚染水の容量にも限りがあるとして、国は、何らかの形での処理を急ぎたいのである。検討の結果、水で薄めて海に放出するのが最も合理的、という判断を出した。

 タンクには、多核種除去設備(ALPS)でトリチウム以外の放射性物質を取り除いたとされる汚染水が保管されている。ところが処理はしたものの、処理後の水から海洋放出できる法令基準を上回る複数の放射性物質(トリチウム、ストロンチウム、ヨウ素など)が検出されたのである。東京電力は、これらの汚染水を再浄化する方針だ。

 10月5日、更田豊志原子力規制委員長が福島第一原発を視察、マスコミの取材に次のように答えている。「科学的な意味では、再浄化と(より多くの水と混ぜることで)希釈率を上げることに大きな意味の違いはない」「(再浄化は)絶対に必要だと規制当局として(東電に)要求する認識ではない」。何とも東電寄りで住民無視の姿勢ではないか。

 トリチウム水の海洋放出について、8月30日に福島県富岡町で公聴会が行われた(翌31日には郡山市と東京都内でも開催)。公聴会では国の方針に反対する意見が続出。新聞から反対の声を拾ってみる。

 「国民の理解を得られていない現状では、県漁業に壊滅的打撃を与えることは必至で、強く反対する」(福島県漁業協同組合連合会・野崎哲会長)、「試験操業の実績を積み上げてきたのに、トリチウムの放出により、なし崩しにされることに恐れを感じている」(漁師の小野春雄さん)、「タンクなどで陸上保管を進めることが現実的だ」(佐藤和良・いわき市議)。(次号に続く)

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