武器輸出の規制緩和進めるトランプ ヴィジャイ・プラシャド(インド出身の歴史学者)

死の商人=米国軍需産業

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民間人・病院攻撃も認める武器輸出

 トランプは、経済的ナショナリズムを政治的アジェンダの目玉にした。「メイド・イン・アメリカ」が彼の基準であり、貿易戦争が彼の持ち球の一つである。

 他の産業と異なり、米国の武器産業は好調である。ストックホルム国際平和研究所によると、2013~17年に米国の武器輸出は25%増加した。米国は世界の武器貿易の1/3以上を占めている。とりわけ1975年以後に米国の武器輸出が盛んになったが、その頃はラテンアメリカの独裁諸国が主たる輸出先であった。

 現在、ピーター・ナヴァロ経済補佐官は、武器部門の規制をできる限り緩和する新政策を検討している。人権や人命への配慮など武器輸出の条件を緩和し、それに関する大統領権限を強化する政策である。

 オバマ旧政権は、人権運動の圧力に押され、2014年に通常兵器移転政策声明の中に、「民間施設や民間人を攻撃する政権の国には武器を売らない」という旨の一文を入れた。トランプはこの文言に「意図的に」という一言を加える。民間人攻撃や殺害が「意図的でなければよい」というのであるが、意図の有無の判断は誰がどのようにするのか述べていない。

 新政策から恩恵を受けるのは武器会社。ボーイング、ロッキード・マーティン、レイセオン、ゼネラル・ダイナミクス、ユナイテッド・テクノロジーズ、ノースロップ・グラマン。他に英国のBAEシステムズとヨーロッパのエアバスを加えた8大企業だけで、167か国(全国家数の85%)に武器を売っている。

サウジへの武器輸出5年間で225%増大

 現在のこの犠牲の血祭りになっている人々の一つが、イエメン人である。サウジアラビアとUAE(アラブ首長国連邦)の攻撃で、国民の4分の3が飢えと疫病で苦しみ、特に子どもの犠牲が顕著である。

 国連はイエメンを「世界最大の人道的危機」と宣言した。

 今年3月、米政府はサウジに10億ドル相当の武器輸出を許可した。しかし、これは過去5年間のサウジへの武器輸出から見れば、小規模取引である。過去5年間でサウジ向け武器輸出は225%も増大したのだ。 

 昨年5月のトランプのサウジ訪問に同行した武器会社は、1100億ドルの販売契約を獲得した。現在、米国製武器の販売先の半分が中東である。中東紛争の火に油を注いでいるのは、イスラーム原理主義というよりメイド・イン・アメリカ武器であろう。

 米国国家安全保障会議は、声明の中で、トランプ政府が「米国産業が世界市場であらゆる面で有利になるように、熱心に働きかけている」と述べた。これが意味するのは、トランプ政府が米国武器製造企業の独占的状況を維持し、今後も地球上各地の紛争の芽を育て大きくして、武器を売り込むということである。2015年、ノーム・チョムスキーが「米国は世界最大のテロリスト」と言ったのは、このことを指して言ったのだ。

 イエメンでは、10分で1人の子どもが死んでいる。将来被告席に立つのは、サウジとUAEだけでなく、ロッキード・マーティンなども裁かれるべきだ。
(出典・コミュニケーションズ・デイリー・コメンタリー/8・25/翻訳  脇浜義明)

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