風営法改正の全国的運動へ 文筆家 真澄蓮

ダンスクラブ「NOON」への弾圧と無罪判決 

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踊らせた罪? 時代遅れのダンス規制

 2012年、DJが流す音楽に合わせてダンスを楽しむ「クラブ」の老舗「NOON」が「風俗営業の許可なく客にダンスを踊らせた罪」で摘発された。この事件をきっかけに広がった風俗営業法(以下、風営法)の改正運動は、支援イベントや映画によって知れ渡り、全国に大きなうねりを巻き起こした。

 そもそもダンス規制は、戦後の混乱期にペアダンスを利用した売春の防止のために作られた法律であり、シングルダンスを楽しむ今のクラブの実態にはそぐわない。その改正を求める「Let´s DANCE署名」には、社交ダンス界やフジロック、サマーソニックなどの巨大フェス、多くのミュージシャンやボランティアの力によって15万筆が集まった。そして2016年、国会議員の協力を得て、ついに風営法2条1項からダンスの文言が削除され、クラブは風俗営業から除外された。また、NOONの金光正年氏は旧風営法のもと「ダンスは風営法の規制対象にはあたらない」という無罪判決を20人の弁護団と共に勝ち取り、運動は大勝利に終わったかに見えた。

クラブ経営者3人逮捕される

 しかし2018年1月、改正風営法のもとで初となるクラブの摘発が行われた。渋谷の老舗クラブ「青山蜂」の経営者ら3人が、「無許可でダンスを踊らせた罪」で逮捕され、東京のクラブ10店舗も相次いで立ち入り捜査を受けた。

 法律が改正された今、なぜ新たな摘発が行われたのだろうか。2016年の風営法改正により、深夜0時までのクラブ営業には風俗営業の許可はいらなくなった。その一方で、ダンスフロアが活気付く深夜0時以降の営業には、新たに「特定遊興飲食店営業」という枠が設けられ、許可の取得が義務付けられた。

 しかし、この許可は条例で定められたごく一部の狭いエリアに限られている。青山蜂をはじめ、多くのクラブはこのエリアから外れており、許可を取りたくても取ることができなかったのだ。改正風営法の下でクラブを経営するにはどうすれば良いのか。現在も大阪の許可エリア外となる中崎町で営業を続けるNOONの金光氏に話を伺った。

―金光さんのお話―「ダンスは罪じゃない」

 青山蜂は健全な店です。逮捕当時、法律の知識があれば違った結果になっていたかもしれません。

 NOONは飲食スペースとダンスフロアが別れていて会計も別なので、特定遊興飲食店にあたらない営業をしていますが、青山蜂もフロアで別れているためNOONと同じく特定遊興飲食店の許可ではなく、深夜酒類提供飲食店の申請だけで営業できた可能性があります。しかし、有罪判決が下った後で覆すことは困難です。

健全な経営がクラブを解放する

 警察による法解釈や運用が正しいとは限りません。クラブ経営者があらかじめ知識を共有し、行き過ぎた捜査や理不尽な摘発に対しては業界として声を上げていくことが大切です。

 今年、東京では『ミュージックバー協会』が発足しました。今後は全国的な連絡会や窓口の必要性も感じています。

 今やクラブは不良の溜まり場ではないのに、警察はその実態をわかっていません。騒音やドラッグ、未成年の深夜入店などが引き合いに出されますが、それらは他の法律で取り締まられているので、クラブごと摘発する必要はないんです。

 つまり、店側ができる一番の対策は健全な経営をすることです。風営法の問題は、最後は裁判で答えを出すしかないと考えていますが、NOONは健全な経営をしてきたので裁判では胸を張って『ダンスは罪じゃない』と言えました。

 この場所で営業して24年になりますが、最先端の文化が生まれるクラブにはまだ未開発の面白さがあるんです。だからこそ、私はクラブを解放したいんです。

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