科学者と市民が反対を決議(264人・25団体)

福島原発 さし迫る猛毒のトリチウム汚染水海洋投棄 渡辺悦司(市民と科学者の内部被曝問題研究会会員)

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政府は8月30、31日に公聴会を開催し、必要な行政手順を踏んだとして、福島事故原発に溜まり続けるトリチウム含有汚染水およそ100万トンの海洋投棄を強行しようとしている。東京五輪の前に、何としても投棄を完了し、福島原発事故の影響は「何もなかったことにする」計画の一環だ。最近、この汚染水には、既存装置(ALPS)によって吸着できなかったトリチウム以外の放射性物質が大量に含まれていることが明らかになった。それでも投棄は強行されようとしている。これに対し、漁協をはじめ海洋投棄反対の声は強いが、一般の人々の関心は残念ながら高いとは言えない状況にある。

 私も会員である市民と科学者の内部被曝問題研究会に結集する科学者・市民の呼びかけで、「トリチウムを含む福島原発放射性廃液の海洋投棄に反対する決議」が行われた。さまざまな団体も公聴会に乗り込み、海洋投棄反対の声を内からもあげた。

 福島第一原発には、水素の放射性同位元素であるトリチウムが、現在、福島事故前5年間に日本の全原発(54基)が放出していた年平均放出量(0・38pBq)の3~9倍に上る膨大な量でタンク中に溜まっている。これを、たとえ希釈したにしろ、福島原発沖に集中して放出すれば、太平洋とその生態系の全体がトリチウム汚染される。トリチウム水は水と同じなので、飛散・蒸発して飛沫・降雨として陸土を汚染して、また、植物や植物性プランクトンによって有機物と結合した形になり、生物濃縮され、われわれ人間に返ってくる。

 政府はトリチウムを分離する技術が「ない」ということを、早期の海洋投棄の理由としている。だが実際には、近畿大学などトリチウムを分離する技術開発は急速に進んでおり、急いで放出しなければならない理由は何もない。この点でも政府は、あたかも日本と世界の人々を人為的に被曝させることを追求しているかに見える行動を取っているのである。

 トリチウムは、化学的には水素であり、健康影響は極めて広いことが分かっている。水素の含有量の多い脂肪に溜まることが重要な点だ。脂肪の多い脳に対して作用して脳腫瘍やいろいろな神経変性疾患、脂肪組織の炎症から起因する糖尿病や広範囲の関連代謝性疾患、さらにトリチウム障害の特徴であるDNA架橋による染色体不分離によるダウン症などへの影響が解明されている。

 抗議の決議文が次のサイトに掲載されている。賛同をお願いしたい。http://www.acsir.org/news/news.php?34

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