ミャンマー・ロヒンギャや少数民族への迫害

虐殺を暴露した記者(ロイター記者:ワー・ローとチョウ・ソウ・ウー)を逮捕 禁固7年の不当判決 7月21日  翻訳:編集部 脇浜義明

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 地中海、マルタ島のタックスヘイブンを調査していた調査報道ジャーナリスト、ダフネ・カルアナガリチアさんが昨年爆殺された。7月、プーチン大統領の私兵とも言われる雇い兵「陰の軍隊・ワグネル」が暗躍する紛争地での調査活動をしていたロシア人記者3人が中央アフリカ共和国で射殺された。

 昨年12月には、ロイター通信のミャンマー人記者2人が治安部隊のロヒンギャ住民虐殺事件を取材中、ミャンマー当局に逮捕され拘禁されている。そして9月3日、裁判所は国家機密法違反で禁固7年という不当判決を下した。ロイター通信社は「ミャンマーの民主化の後退だ」と非難声明を出した。またこの8月、国連人権理事会調査団はロヒンギャの虐殺の実態を捜査すべきであると国連に要請しており、この2人への弾圧と同時に「民主化闘志アウンサンスーチー」政権の民族浄化・宗教差別はようやく国際社会にあからさまになりつつある。以下のレポートは、米国で掲載された先駆的なものだ。 (編集部)

民族浄化のための虐殺

 今やビルマ(「ミャンマー」は軍事政府下の呼称で、それを認めない人々は今も「ビルマ」という呼称を使っている。日本政府はすぐ「ミャンマー」の呼称を認めた)政府とイスラエル政府は、「テロとの戦争」口実のもと民族浄化のため虐殺を行っている点で同じだ。偽りの民主主義、「テロとの戦争」をデマと批判するジャーナリストを弾圧するという点でも同じだ。

 イスラエルはユダヤ人を特権国民としパレスチナ人を二級国民とすることと同じように、ビルマは人口の6割を占めるビルマ族仏教徒を特別扱いし、イスラム・ロヒンギャやその他の少数民族を蔑視、リンチにしたりする点で、同じである。イスラエル製武器がビルマの少数民族虐殺に使用されているのは、偶然ではない。

 国境なき医師団は、昨年ビルマ軍が8月25日~9月24日の1カ月間で子ども730人を含む9000人のロヒンギャを虐殺した、という恐るべき報告を発表した。また、昨年だけでほぼ70万人のロヒンギャ族がビルマを脱出してバングラディッシュへ逃れた。難民となって、ビルマとバングラディッシュ国境の無人地帯の難民キャンプで悲惨な生活を送っている。現在の難民数は90万人を超えたといわれる。

 6月18日、ビルマ兵士の蛮行を撮影することを「兵士の名誉を傷つける」犯罪行為だとして法律を作った。ビルマは、2人の勇敢なロイター通信の記者を「インディン村の虐殺」を報道したことで逮捕した。

 政府の報復を覚悟して、昨年9月2日インディン村の出来事を暴いたのは、共同通信のワー・ロー(32)とチョウ・ソウ・ウー(24)という記者だ。その日2人のロヒンギャ族が仏教徒村人によってめった切りにされ殺され、8人がビルマ軍に撃ち殺された。死体は事前に掘られていた穴に投げ込まれ、ロヒンギャ人の家は燃やされた。ラカイン州ではこの種の事件は日常的で、兵隊による銃撃と暴徒による襲撃で一家全員が死亡したこともある。2人の記者は9・2事件についての政府文書や仏教徒村人、治安部隊員への取材を通じ、政府と暴徒がロヒンギャ人虐殺とその隠蔽で同調していることを明らかにした。

70万人民族浄化容認する文化

 2人の逮捕に屈せず、ビルマとバングラディッシュのロイター記者たちは取材を続け、昨年、ビルマの第三軽歩兵部隊と第99軽歩兵部隊が政府のロヒンギャ迫害の「矛の先」となって70万人の民族浄化を行ったことを暴露し、ロヒンギャに対する犯罪行為を容認する文化がビルマに蔓延していることも指摘している。

 フェイスブックでは、ラカイン州の虐殺に向かう兵士キー・ニヤン・リーに、「ベンガル族の肉を喰いに行くのか」と友人が書き送り、兵士は「そうだよ」と返事し、「ベンガル族を見つけ次第殺す。その有様を詳しく教えてやるよ」と返答している。「ベンガル族の肉を喰う」とは、ロヒンギャ虐殺のことを指す。他にベンガル語「カラ」をロヒンギャへの侮蔑語として使っている。政府は表向きロヒンギャ虐殺を隠そうとするが、仏教徒暴徒は平然とソーシャル・メディアの前で明言している。

 2人のジャーナリストの勇気のおかげで、政府は「インディン村虐殺」を隠し切ることができなくなり、「調査する」と発表した。ところがその調査結果たるや「地元の部族がテロリストをリンチした事件」とデッチ上げ、ビルマ族仏教徒暴徒や国軍の関与はなかったとした。恐ろしいのは、イスラエルのパレスチナ人虐殺や民族浄化と同じように、世界の諸政権やメディアがそれを犯罪視しようとしない点である。

 しかし、オックスフォード大学はアウンサンスーチーに授与した「市民の自由」称号を剥奪した。ノーベル平和賞も取り消されるべきだ。

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