3月22日、私=山田洋一の「詐欺事件」に関する第2回公判が、神戸地方裁判所で行われた。この日、被告人弁護団からの新たな証拠が申請されたが、事務的やりとりで、約20分で閉廷となった。
申請された新証拠は、判決を左右する可能性をもつ重大証拠といえる。その内容は、2013年1月17日、私が新生銀行のコールセンターに電話をした録音記録とその反訳である。この電話で私は、コールセンター担当者に対し、「親戚が海外に行っているので、日本で私が入金して、親戚が海外で引き出す」という銀行口座の使い方をしているという旨を述べている。
検察は、私から同銀行コールセンターへの架電記録5件を証拠として確保しており、初公判では、キャッシュカード再発行を求めた(1)のみを証拠として提出していたのだが、録音記録が5件あることを弁護団が突き止め、その内容を検証したところ、今回の録音記録が発見され、証拠申請した次第である。
起訴状で検察は、「第3者が使うことを秘して、銀行口座を開設しキャッシュカードをだまし取った」と主張している。本人以外の第3者がキャッシュカードを使用することは、約款で禁止されており、新生銀行はこれを根拠に「キャッシュカードをだまし取られた」として兵庫県警に対し被害届を出した。
ところが、私は、すくなくとも13年1月時点のこの電話で、キャッシュカードを親戚である第3者が使うことを伝えており、「騙す意志はなかった」ことをはっきりと証明する重大証拠となっている。
ほころびが露呈した検察
3月30日、主任弁護人の高木氏から、「検察が新証拠提出を伝えてきた」との電話があった。先述の新証拠に反論するための証拠を提出するという。内容は、「私の電話を受けた担当者が、新人で事情がよくわかっていなかった」ために、口座の継続的使用を認めてしまった、というもの。検察としては、今回の新証拠が判決に悪影響を与えると考え、証拠価値を低めるために担当者の証言を引き出し、反論しようとしているようだ。
次回(4月25日)公判は、被告人(私)質問だが、その後検察は、新証拠を申請するという。弁護団としては、同反論証拠については「不同意」とする方針なので、当該の銀行担当者を裁判所に招いて、証人調べとなる。このため裁判日程もずれ込み、結審は6月となりそうだ。
そもそも、私に対する逮捕・起訴は、無理のうえに無理を重ねた公訴権乱用の疑いが強い。実質的には被害者不在・被害金額ゼロの「詐欺事件」であるがゆえに、兵庫県警が銀行に働きかけて被害届を出させて事件を創り出し、新聞社へのこれ見よがしのガサイレも敢行した。
こうした無理の積み重ねが、今回の検察の立証に綻びを招き寄せたと言えるだろう。2月に保釈を勝ち取り、身柄が解放されてみると、新聞社は、弾圧を見事に跳ね返して読者を拡大し、協力者を飛躍的に増やした。今も、今回の弾圧への抗議の声、人民新聞支援の声は、拡大し続けている。我々は、突然の弾圧に当初は守勢にまわり、混乱もあった。しかし、今や完全に攻勢に転じた。勝利の2文字が目前に迫りつつある。