特集(3) 放射性廃棄物の放置・拡散 いま関東では

横須賀の学校に埋められた放射能汚染土 被ばくの危険性を非公開に ピースムーブ・ヨコスカ/神奈川・子どもを守りたい 中井美和子

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 神奈川県横須賀市では、原発事故後、放射能汚染土が学校敷地内に埋められた。市立学校73校のうち、高い放射線量が検出され埋設したのは43校。総量は約17・6トンだ。(編集部)

 2011年8月、教育委員会(以下市教委)が「側溝は放射線量が高く出ることが想定されるため、清掃をするように」と学校へ指示した。しかし、被ばく防護の注意が記載されていなかったため、学校は事故前と同じ方法で側溝清掃をした。私の子が通う鶴久保小学校では、体育館の裏に高い放射線量の汚泥が集まった。

 10月、鶴久保小学校で毎時0・75mSvを検出、市教委が除染方法を決定。地上1センチ0・59mSv、地表1mで0・23mSv以上の放射線量が検出された場合、汚染土を土嚢袋に入れ、その上からビニール袋を二重に被せ、防災シートで包みガムテープで止め、50センチの覆土をして学校敷地内の生徒・児童が立ち入らない場所に埋設する、とした。

 地表1センチで2・6mSvが検出された小学校や、土嚢袋106袋が埋設された小学校があった。埋設場所は、体育館裏、ビオトープのなかなど、生徒児童が容易に入れる場所だった。

 教委が「立ち入り禁止や標識は必要ない」との方針を出したために、保護者が学校に要望して、放射能マーク、立ち入り禁止ロープが付けられた学校もある。だがほとんどの学校は標識もせず放置され、運動会では埋設地の側で弁当を食べる家族が多くいた。

 教職員や用務員への説明も不足をしているため、側溝清掃土を畑にまく、側溝中にいた大きなミミズを生徒にあげようとする、生徒に側溝清掃をさせようとした学校もある。埋設作業予定や埋設地の放射線量測定を事前に知らせず公開性も不十分だった。市議会に、放射能汚染土を学校外へ撤去する趣旨の請願を出した保護者もいたが、否決された。

 16年9月市議会で、議員がこの問題を取り上げたことを契機に、市長から上下水道の浄化処理施設「下町浄化センター」への移設方針が出された。市教委はこれまで空間線量測定だけで安全性を判断してきた方針を変え、埋設校全ての放射能汚染土を掘り起し、放射性濃度測定を実施した。

 指定廃棄物とは、環境省が原発事故後に定めた、原発事故由来で汚染された廃棄物について、放射性濃度が1kgあたり8000ベクレルを超えたものを、国が責任を持ち処理するものである。

 最高濃度は、市立養護学校で1万6200Bq/Kgだった。市立養護学校の放射能汚染土は、2011年から6年経ち、セシウム134は8分の1に減っているので、それだけを補正した簡易的な計算をすると、埋設時は、3万1600Bq/Kgもの高濃度汚染土であったと考えられる。

全国で放射性廃棄物は山積み移設させるまで監視し続ける

 18年3月、学校に埋設されていた放射能汚染土が、全て掘り起こされ移管された。移設作業は、市民保護者への周知がほぼ非公開で行われたが、15校の作業を監視した。これまで、埋設作業や放射線量測定をしてきた市職員、委託業者は軽装であったが、数年にわたり「被ばく労働だ」と訴えてきたことが理解されたのか、移設の際には職員たちの服装に変化があり、被ばく防護をしていた。

 原発事故前、移設先の下町浄化センターでは、下水汚泥焼却灰を全量セメント原材料としてリサイクルしていた。しかし、焼却灰から放射性物質が検出。処分業者から受け入れを拒否されたため、焼却灰をコンテナに詰めて保管してきた。現在は、業者が焼却灰を引き取り、産業廃棄物として管理型処分場に埋め立て処分、リサイクルも再開されている。

 市教委は、学校放射能汚染土についても「移設は仮保管。できるだけ早い時期に処分業者を探し、最終処分する」としている。

 環境省は、8000Bq/Kg以下の除染土を公共事業で再利用する方針を打ち出している。これは、原発事故被害を矮小化して原発再稼働を進めるための、見せかけの「復興」政策の一環だ。目をそらすことなく原発事故の実相を暴き、曖昧にさせないことが必要だ。

 隣の横浜市では、原発事故後、公立学校等に3トンもの指定廃棄物を含む放射能汚染土が、保護者にも知らせずに学校内の消化ポンプ室等に置かれていた。この問題は大きく報道され17年3月末、北部汚泥資源化センターへ移管。しかし移管は一部で、放射能汚染土を永久に埋設し続ける300園以上の保育園などがある。これを許したままではいけない。

 最後に約6年半行政に説明し、作業を中継し、多くの力添えやアドバイスを頂いた方々、学校や行政に懸命に働きかけた母親たちがいたことをここに記す。

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