【文化欄 映画評】「永遠のジャンゴ」 (仏映画、エチエンヌ・コマール監督 117分)

~ナチスに立ち向かったロマミュージシャンの半生~

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 2017年、ベルリン映画祭のオープニング作品となり、脚光を浴びた。第二次世界大戦時代フランスで活躍したギタリスト、ジャズマン「ジャンゴ・ラインハルト」の半生を映画化した。

 時代は1940年代、ナチス占領下のフランス、映画は枯れ木拾いするロマ(ジプシー)の少年が何の警告もなくナチス兵に打ち殺され、ロマの野営地が焼き討ちされるところから始まる。

 ナチスは、ユダヤ人とともにヨーロッパ全土で50万人ものジプシーも強制収容し虐殺した。フランスでは、主にロマ民族が迫害にあった。ユダヤ人との違いは、ロマはフランス人の中でも最下層とされ差別を受け、フランス警察からも抑圧された。

 彼らは音楽に秀でており、ジプシー音楽のみならず多くのミュージシャンを生み出してきた。ジャンゴ・ラインハルトもその一人で、ナチス支配下のフランスで脚光を浴びたギタリストだ。政治的なことには無関心であった彼が、ナチのロマに対する迫害を目の前に、抑圧に抵抗する不屈のミュージシャンに変じていく姿を描く。

 ギターを武器にナチに立ち向かい第二次世界大戦を生き抜き、戦後迫害されたロマ民族へのレクイエムを再演するところで映画は終わるのだが、その差別迫害が現代フランス下でも続いていることは語られなかったのが残念だ。しかし、ロマ民族の迫害と抵抗を音楽映画として描いた秀作だ。

 ギター音楽、ジャズファンにとってもたまらない名曲がぎっしり詰まった映画であることも、追記しておく。(松永)

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