ワールドカップ覚え書き
ワールドカップの大騒ぎは日本代表が敗退すると決勝を待たずに静かになった。サッカーそのものよりも、ナショナル・チームに自己同一化して応援することのほうが好きな人が多いのだろう。しかし、優勝したフランスもそうなのだが、移民系や二重国籍者の活躍が目立った。ナショナル・チームとは何なのか? ワールドカップは、ナショナルな同一性が成立しなくなっていることが見えて面白い。 一方、右派の伸長で移民に冷たくなったイタリアやドイツの凋落が著しい大会でもあった。ところが、日本代表はまさかの活躍で決勝トーナメント進出。旧枢軸国の仲間につきあって低迷していたら、右派の伸長=世界レベルからの脱落という図式が描けてもっと面白かったのに。
前回ブラジル大会は「サッカー暴動」
ところで、前回の14年ブラジル大会では、前年のプレ大会のとき、開催そのものに反対する「サッカー暴動」と呼ばれる民衆蜂起がたたかわれたのだった。叛乱の記憶は頭に刻んでおかなければならない。このときの様子は、酒井隆史の「ブラジルでFIFAのブレザーなんて着たがるヤツはいない。殴り倒されるからだ」で知ることができる(ネットで読める。FIFA=国際サッカー連盟)。
ラグビーワールドカップ2019、2020東京オリンピックと、これからメガスポーツイベントが続くこの国で、それらを迎える前に目を通しておきたい文献だ。