【視点論点】英米仏の無法テロだ

シリア空爆・住民に思いを馳せよ 編集部 脇浜義明

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化学兵器は本当に使われたのか?

 独裁者アサドを庇う気はないが、英米仏のシリア攻撃は犯罪行為であり、国際法違反であるのに、どのメディアも指摘しない。国連安保理の決定すらなく、主権国家を攻撃しているのだ。

 シリアの化学兵器使用を口実にした攻撃だが、国連によるきちんとした調査を待たずに慌てて攻撃に踏み切ったあたり、かつての大量破壊兵器の存在という嘘でイラク政権を転覆した行為と似ている。現にトランプは、シリア攻撃後も2~4千人の米兵をシリア北部に残し、サウジや湾岸諸国に資金を出させて傭兵部隊をシリアに置く計画を立てている。国際法違反の無法行為である。

 シリアの化学兵器使用が事実だったとしても、イスラエルや米国や英国は中東で劣化ウラン弾や白リン弾を使用した。これに対して、ロシアや中国が懲罰としてロンドン、ニューヨーク、テルアビブを空爆したらどうなるだろう?

 かつて国連の特別報告者を務めた信頼できる中東専門家ロバート・フィスクは、シリアが化学爆弾を落としたとされるドゥーマに入り、聞き取り調査を行った。彼は、空襲犠牲者の治療に当たった医師の話を報告している―。「政府軍の空襲は事実だが、化学兵器使用の徴候は見られなかった」。としたうえで次の様に語った。一部を引用する。

 「私は、空襲のとき家族といっしょに地下室に避難していた。政府軍の砲撃と飛行機の轟音が一晩中続いた。その夜は風が強くて、地下室にも砂ぼこりや硝煙が入ってきた。人々は酸素不足で咳き込んだ。

 すると外で『化学ガスだ!サリンだ!』と叫ぶ声が聞こえました。声の主は『ホワイト・ヘルメット』(欧米、日本、トルコの資金援助で動いているシリア民間防衛隊)でした。人々はパニックになって、お互いに水をかけあって化学物質を洗い流そうとした。それがビデオにとられて世界に発信されたの。でも、有毒ガスではなく、軽度の酸欠状態だった。」

 面白いことにフィスクの報告は、米国の保守系ネットワーク『ワン・アメリカ』のピアソン・シャープ記者によっても確認された。彼も現地でインタビューし、誰も化学兵器が使われたと思っていないと報告している。

戦争の被害者はいつも普通の住民

 「反乱軍が拠点にしている地域はパレスチナ難民キャンプが多く、政府軍の空爆や砲撃で死亡するのは、イスラム国や反乱者だけでなく、無垢のパレスチナ人やシリア民衆である。反乱軍や欧米仏の空襲でも同じことが言える。幼年期を米軍の空襲下で過ごした私には、とても他人事に思えない。戦争で泣きを見るのはいつも普通の人々である」

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