【視点論点】米国の民主党予備選挙

左派が躍進傾向に 編集部 脇浜義明

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 トランプ人気が富裕層や白人至上主義右翼ばかりでなく、低学歴・貧困白人大衆層でも堅実であるが、一方、トランプに敗れた民主党内で若手急進的左翼勢力が躍進しつつある。バーニー・サンダース人気も上昇、事実上党を二分しつつある。 面白いのは、中間選挙への民主党予備選挙の模様である。大統領の任期中間に上下議会の選挙が行われるが、大統領の次期選挙を占う中間選挙と呼ばれている。その中間選挙のための民主党の州予備選挙で、面白い現象が起きている。

 ニューヨーク州第14議会区(クイーンズとブロンクス)予備選挙で、そこを地盤とする10期を務める古参民主党議員で、ウォールストリートとコネが濃いジョー・クローリーを、若干28歳のプエルトリコ人社会主義者女性アレクサンドリア・オカシオ=コレテスが負かしたのだ。しかも2桁数字の差で勝ったのだ。

 彼女はアメリカ民主社会主義者団体に所属する民主党員。アメリカ民主社会主義団体というのは、社会民主主義者、民主社会主義者、進歩派、労働者政党などの寄り合い所帯で、社会主義インターに加盟した。

 マスコミはこれを「ショッキングな番狂わせ」と呼んで、大騒ぎ。彼女たちのグループは選挙資金がなく、みんなで手分けして地区内のアパートを一戸ずつ戸別訪問、住民にとって問題であることを直接話し合った。

 だが、負けたクローリーはそういう選挙をしなかった。彼はオカシオ=コルテスを侮り、彼女との公開討論会にも出席しなかった。彼は、住民の70%が有色人である地区を代表する政治家ではなかった。それがはっきりした選挙結果にすぎないのだが、それが「番狂わせ」なのである。マスコミは選挙の性格を熟知しているようだ。

草の根左派の勢いが表面化

 他にも、ニューヨーク24議会区でも、妊娠中絶反対の民主党議員運動委員会(DCCC)の保守反動的候補者が敗れた。メリーランド州、ノースカロライナ州、ジョージア州の民主党予備選挙でも、反主流派が善戦している。これはまだ小さな流れだが、企業癒着の民主党全国委員会(DNC)や民主党議会運動委員会(DCCC)など既成主流派に反旗を翻す草の根左派の動きが表面化したことを意味する。トランプ対抗現象の一つであろう。

 トランプは、トランプが意図しない形で、世の中を変えつつある。米国ばかりでなく、メキシコでも中道左派の元メキシコシティ市長AMLO(アンドレス・ロペス・オブラドール)が大統領選で圧倒的勝利、メキシコ近代史で初めて左派大統領が誕生した。

 日本でそういう作用が見られるのはいつだろう? もうみんな目覚めてもいいだろうに。

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