【視点論点】パレスチナ人のもう一つの悲劇(2)

PA(パレスチナ自治政府)の民衆弾圧 編集部 脇浜義明

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若い秘密警察がデモ隊に暴行

 前号の視点・論点で、ガザの帰還権運動の人々の命よりも自己権力維持を優先するPA(パレスチナ自治政府)の態度を批判する「ガザのもう一つの悲劇」を書いたが、この悲劇はパレスチナ人全体に当てはまるようだ。

 ある人権活動家が、PAの弾圧を恐れて匿名で『電子インティファーダ』に目撃談を投稿している。それによると、ラマダーン終了を祝うイド・アル=フィトルの祭日に、PAがガザの人々に課している制裁に抗議する民衆デモをPAが弾圧したのだ。PAはこのデモに許可を与えなかったが、ラマッラーの民衆はガザの同胞への連帯を示すために、敢行した。PA保安隊はデモの人々を殴ったり、逮捕したり、スタン擲弾をデモ隊の中に投げ込んだりして蹴散らそうとした。それでも人々はデモを続けた。

 1時間ほどして、今度はデモ隊の中に潜入していたあばれ者たちと秘密警察が表面に出て弾圧を開始した。彼らは、パレスチナ解放運動の象徴であるケフィエを被り、「ファタハ」と名乗ったという。

 秘密警察は4人1組で行動し、ファタハ・ケフィエのあばれ者に合図を送り、彼らは合図されたデモ隊員を引きずり出し、集団で殴った。彼らの年齢は25才以下の若者だったという。服を破いたり蹴ったり、乱暴の限りを尽くした後で保安隊に引き渡し、逮捕させた。逮捕された人々はトラックに載せられ、自治政府予防治安部隊(拷問と虐待で有名)本部へ連れていかれた。

 警察保安隊や自治政府部隊(予防治安部隊と総合情報部)は、EUと米国の資金で米国のCIAによって訓練されている。その目的は、PAにイスラエルの代行をさせることであるという。実際そのやり方は、イスラエルの手口そのままである。PAはナチ占領時代の仏ヴィシー政権のようになったのだろうか?

 パレスチナ紛争はもはやイスラエル・パレスチナ間の紛争ではなく、イスラエルもガザも西岸地区も難民キャンプも含めて、権力機構と民衆との闘いに変わりつつあると言うべきだろうか?

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