7月19日にクネセト(イスラエル国会)は、イスラエルはユダヤ人のための民族郷土国家で、ユダヤ人だけが民族自決権を持ち、ヘブライ語だけを国語とする「基本法―ユダヤ民族国家法」を成立させ、アパルトヘイト国家を法的に規定したが、イスラエル内パレスチナ人と一部の左翼ユダヤ人を除くと、このアナクロニズム法は大きな議論を巻き起こしていないようだ。
しかし、これまで圧倒的に親イスラエルだった米国民主党系リベラル派が態度を変え始めた。米国シンクタンクの世論調査でも、パレスチナに共感する民主党系リベラルが2年前より増加、親パレスチナ派40%、親イスラエル派33%という結果がでた。
国内政治では進歩派のバーニー・サンダースですら親イスラエルだったことを考えると、顕著な変化である。米国の親イスラエル派は、主として右翼国家主義者とキリスト教原理主義(福音派)勢力になった。イスラエルもそれを意識してかは分からないが、最近中国やインドやサウジアラビアやUAEなどのアラブ独裁国に接近し始めている。
世界がガザに救援船団を派遣
「電子インティファーダ」も民主党議員70人がガザ支援声明を出したことを報告している(7・31)。ガザの人道的危機を軽減するために至急に支援金拠出を再開せよとトランプに要請している。「ガザでは子どもの50%以上が1日1・74ドルという貧困ラインを大幅に下回る生活水準で、水道水の95%が飲料不可という状態。国連は2020年までにガザ回廊が『人間が住めない』状態になるという警告を出している」と声明書に書いている。
トランプは、大統領就任直後に国連のパレスチナ難民救援機関UNRWAへの拠出金3億ドルを凍結した。PA(パレスチナ自治政府)にイスラエルに従えという圧力をかけるためだった。そのためUNRWAは雇用職員削減して対応しているが、このままだと難民の子どもの教育や基本的生活支援を大幅にカットしなければならない。70人の議員たちは「貧困、失業、食料不足を軽減し、医療や飲料水や電気へのアクセスを復活することが、パレスチナ人とイスラエル人双方の安全にとって重要な第一歩だ」と訴えている。
世界の市民はイスラエルのガザ攻撃と封鎖に抗議、ガザの人道的危機を少しでも軽減しようとガザへ自由船団を派遣しているが、イスラエル軍はそれを暴力で阻止している。
ノルウェー国旗を掲げた救援船「アヴダ号」が公海上でイスラエル軍に拿捕され、乗組員(船員、活動家、ジャーナリスト、医師)が暴力を受けた。ジャーナリストのうち、どういう訳かイスラエル人とアル・ジャジーラの記者が釈放された。他にも「フリーダム」という救援船がガザに向かっている。
米国世論が、例えわずかでも変わりつつあるのは、明るい徴候である。イスラエルの孤立化はますます深まるであろう。