【映画紹介】ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書

2017年アメリカ映画監督スティーブン・スピルバーグ/主演メリル・ストリープ、トム・ハンクス

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権力犯罪に立ち向かうメディアの責務

 2017年初め監督のスピルバーグはトランプ政権誕生後のありさまを目の当たりにし、長く眠っていたこの脚本を最短で映画化することを決意し作り上げた。

 1971年ベトナム戦争の最中「アメリカにとって不都合な情報・真実」、虐殺行為、モラルなき米軍の姿、逆にベトナム解放軍の士気の高さやゲリラ戦の優位性などのレポートが米国防総省ペンタゴンの機密文書として存在していた。良心ある職員がニューヨークタイムスにリークする。スクープしたニューヨークタイムスへのニクソン政権の報復。それを知ったワシントンポストの記者がリーク元を探し当て、暴露しようとするのだが、ここでも社内でニクソン政権からの刑事告発を忖度し圧力がかかる。しかしワシントンポストのメリル・ストリープ演じる女性社主は決然と、この「ペンタゴン・ペーパーズ」の全面暴露を指示する。「ベトナム戦争にアメリカの正義はない、必ず敗北する。そんな戦争に若者を駆り出すのはもうやめにしよう!」と。そして翌日には全米の新聞各社がこの記事に賞賛を贈る。

 追及はつづき1973年、「ウォーターゲート事件」へと発展していく。ニクソン大統領はアメリカ史上初めての弾劾裁判の発議を受け崩壊、75年ベトナム戦争は終結へと向かった。

 この脚本は2016年にリズ・ハンナという女性脚本家が実話をもとに書いたものである。しかしトランプ大統領出現後、スピルバーグと名女優メリル・ストリープがともにこの脚本に注目していたことが幸いした。二人は意気投合し即座に映画化が決まった。トランプがこれ以上のさばらないうちにと急ピッチで映画作成された。アメリカ映画にも、まともなものもある。

 機密文書の隠ぺい工作、メディアへの圧力、権力への忖度等々日本の現実に向けられた映画でもある。権力に敢然と立ち向かうメディアの姿に、今人民新聞が負う重い責任を再確認する。      (評者:松永)

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