【文化欄】居場所づくり カフェで青空古本市 「ひとはこのみのいち」

依岡さん(徳島大学教員)に聞く 聞き手・編集部 村上

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「学生は地域に出て人間関係の広がりを持つべきです」

 徳島県のカフェ「weird(ウィアード)」の店先で青空古本市「ひとはこのみのいち」が毎月開催されている。

 古本市のやり方をイラストや写真を使い説明した新書「一箱古本市の歩き方」を参考に企画している。市民団体「Cafe-Labo」が主催。要らなくなった本を持ち寄り、自分の「店」となるダンボール箱に並べている。出店者は毎回十数人。

 箱には「ヨリカフェ文庫」「カガワ書店」「よりおか書店」などの店名がつけられている。1冊50~200円程度。無料配布されていた求人情報誌から歴史を感じる古書洋書まで、品揃えは多彩。POPやレイアウトも店ごとに違い、個性が出ている。

 主催者の依岡さんは徳島大学の教員。学外ではイベントを主催し、地域の居場所づくりを進めている。依岡さんに趣旨・目的を聞いた。

 出店は無料で、誰でもできますが、利益が目的ではありません。本を持ち寄ることで参加者の会話の材料になればいい、と思っています。自分は『ふたりのロッテ』という子どもの頃に親しんだ本で、同世代と盛り上がりました。こんな本おもしろいよ、とコミュニケーションをする場を作りたいのです。学内で学生だけで完結せず、地域に出て、人間関係に広がりを持つべきです。

 知人に『いい喫茶店がある』と勧められて入りました。CD、本がたくさんある純喫茶の雰囲気をもったブックカフェで、気に入りました。マスターに企画の話をすると、店先を貸してくれるようになりました。
――メンバーと企画について詳しく。

 weirdの常連客をはじめ、地域の大学生・教員がイベント開催のメンバーとなり、毎月1回、定期的に企画会議をもっています。今回は古本市でしたが、映画や音楽の鑑賞会、お茶会など、メンバーの得意分野で企画を行っています。発案者の『やってみたい』気持ちをみんながバックアップしています。
――宣伝は?

 大々的には行っていません。お互いに顔の見える距離での交流にも意義があります。あまりたくさんの人が来ても一人ひとりの交流が浅くなってしまいますので、参加人数にこだわりはありません。主に口コミで広めています。授業の終わりにチラシを配ったり、フェイスブック・ツイッターなどSNSで告知もしています。

 また、居場所づくりをしている他の団体のイベントに参加して交流し、自分たちの活動に興味をもってくれた人を誘っています。
――今後は?

 学生、社会人、図書館職員が家族で来たり、地元の人が散歩のついでに寄っていきます。最近では親子連れも増えてきたので、子ども向けの本も置きたいです。

 気楽に無理なく企画者も楽しんでいきたいです。

参加した学生にインタビュー

――メンバーになったきっかけは?

 大学でコミュニケーション論を専攻し、依岡先生にお世話になっていたからです。先生が毎週水曜にゼミ室を解放して、お茶しながら交流できるんです。そこで古本市の話題が出て誘われました。参加して、新しい本に出会えました。『カラマーゾフの兄弟』を友人に勧められました。オススメされることで、自分では選ばないジャンルの本を手に取るきっかけになります。大学サークルは文学クラブに所属し戯曲を書いています。
* * *
 カフェは照明器具とアンティークインテリアがレトロな雰囲気を醸成している。ブックカフェと銘打っているとおり、壁は本で埋め尽くされ小さな図書館のようだ。自由に手にとって読めるようになっている。

 マスターの角山学さんは「好きなものを集めたら現在の形になりました。ここにあるのは全て私の本です。本が好きで、どうしても本を置きたかったのです。開店から6年目になりました。仕事が楽しく幸せです。お客さん同士でやりたい企画があれば、場の提供というかたちで協力します」と語っていた。

 オススメの本を置くコーナーがあったので、「ボクが東電前に立ったわけ」を寄贈した。

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