なぜイスラエル兵がパレスチナ人に残虐行為できるのか

編集部・脇浜

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 イスラエル兵も私たちと同じ人間である。それがなぜパレスチナ人に対してあんな残酷な行為が平然とできるのか? 人間は社会的に形成される。かつて日本の軍国主義教育や、白人の植民地主義の先住民観に見られたように、教育に原因を求めてみよう。

 イスラエルの教育学者ヌリト・ペレド=エルハナンが自国の学校教科書を分析し、「教科書が子どもたちに反パレスチナ・イデオロギーを注入し、徴兵への下準備をする役割を果たしている」と結論づけた。国民より民族を基準に思考させ、パレスチナ人は劣等民族だから優秀民族のユダヤ人と同等に扱う必要がないという、「非人間化」論理をすり込んでいるという。

 もう一つは、ホロコーストの利用だ。イスラエルは、ホロコーストを「人道に対する犯罪」というより「ユダヤ人に対する犯罪」という面を強調すると、歴史学者でジャーナリストのトム・セゲフが指摘している。毎年、高校生は軍人教官随行でアウシュヴィッツへ修学旅行する。そのとき、イスラエルへ移民しなかったユダヤ人はユダヤ人を敵視する外国人の中で生活したため、結局虐殺された。しかしイスラエル・ユダヤ人は国家と国軍によって守られているし、やがてお前たちがその任務を担うのだと、排外主義と軍国主義的国防意識を植えつける。

 卒業後、すぐに入隊し、検問所や占領地でパレスチナ人を銃で支配する任務に就く。計算された仕組みである。「ホロコーストの悪用だ」と抗議して、旅行を廃止した勇敢な校長がいたが、後に続く教育者はいなかった。

 

「ホロコースト」を利用して非人間化教育

 また、イスラエルでは、テロ対策実習として、パレスチナ人の写真に向かって発砲する練習や、パレスチナ人デモを弾圧する残酷なビデオを見せて、パレスチナ人を悪魔化し、生徒にトラウマを植え付ける課外教育もある。

 あるイスラエル内パレスチナ人が、ケフィエ(アラブ人衣装)をまとった人形を射撃する実習の模様を写真にとって左派新聞『ハアレツ』に投稿し、話題になったことがある。そういえば、米国でも新人警官に黒人写真を標的に射撃訓練をやらせていることが発覚したことがあった。

 このように、イスラエル兵の残虐行為の背景には、国家による自民族優越主義、他民族、とりわけパレスチナ人の非人間化教育がある。この犠牲になるのはパレスチナ人であるのは言うまでもないが、ユダヤ人青少年も人間的成長を阻害されるという意味で、被害者だ。英国労働党のコービンがネタニヤフ政治とISを同列に置いて批判したが、彼は正しかった。私が怖いのは、教育関係者や親たちが沈黙していることだ。今の日本と同じ状況であることも忘れてはならない。

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