私は人生で2度痴漢にあった。2度目は30代、場所は映画館。太股のあたりがおかしいと気づき、無性に腹が立ち、隣の男性へ場内響き渡るような声で「何すんの!」。男性は立ち去った。少しは世間というものがわかりかけていたからだろうか、腹立たしさ以外は感じなかった
▼一度目は19歳。通勤電車の中。満員で、でも腰のあたりに違和感を感じ、身をよじるようにして下車した。ウマく表現できないけれど、その時の内臓から汚れてしまったような真っ暗な気持ちはしばらく消えなかった
▼99年に起きた大阪府知事のセクハラ事件を思い出した。女性たちが何度も勉強会を開いた。セクハラは証拠がない。訴えに対して警察は何度も状況の説明を求める。証言に食い違いがないと確認してから動きだす。何度も思い出さなければならない被害者の精神的ケアとサポート体制がなければ、勝てなかっただろう
▼女性記者に対して「出てきて話を聞かせろ」「福田氏の今までの実績を無視できない」と言う麻生氏の妄言。世界に対して恥ずかしいわ
▼ハラスメントに関して私も含めて人間は鈍感だ。しかし、事が起こったときは立ち止まり、想像力を働かせることが大事だと思う。しかし、女性が社会進出することは、なんと困難なのだろう。 (F)