世の中が《星野仙一死亡》のニュースで賑やかなとき、一人の老活動家がひっそりと息を引き取った。「寿命には勝てんが、安倍には負けたくない」と踏ん張っていたが、病に蝕まれた体力が続かず、安倍よりも先に逝った。
世間が阪神淡路大震災の復興が終わった、と言っていたとき、「まだ終わっていない」と、取り残された社会的弱者の側に立ってモノを言い続け、行政に要求し続けたので、NPOなどから白い目で見られた。
しかし、最近やっと、「借り上げ復興住宅」から無慈悲に追い出される高齢者、障碍者、生活保護者などの問題をメディアが取り上げるようになり、例年行っている、1・17神戸市役所前抗議集会の準備をしている最中の死である。世の中にとって、星野なんかより、はるかに必要な人間であった。
河村宗治郎。享年81歳。
私はこれでこの新聞で弔文を書いたのは3度目である。最初はPFLP(パレスチナ解放人民戦線)のガッサン・カナファーニに対して。二度目はマンスリー・レビュー誌のポール・スウイージーに対して。そして今度は河村宗治郎について。
彼は、私の心の中では、前二者のような歴史的人物と肩を並べてもよい市井の人物である。市井の人物こそが、我々の闘いのヒーローでヒロインなのだ。