全国から500人 四国電力本店包囲
伊方原発3号機は去年10月から定期検査のため停止中だが、四国電力は再稼働を狙ってきた。広島高裁の判決を前に、12月10日四国電力本社のある高松で「STOP! 伊方原発高松集会」が行われ、全国から500人が集まった。
四国の反原発の取り組みは地元住民とのつながりを重視し、去年の冬「八幡浜市民ネットワーク」を立ち上げた。原発のある伊方町と八幡浜市のアーケード街に拠点を置き、毎月8日の商店街祭り「八日市」に参加し、地域市民と交流を深めながら原発について話し合っている。また、抗議行動は伊方原発ゲート前で毎月11日に集会を行っている。この取り組みに関わっている「脱原発アクションin香川」が中心となり、高松駅前広場で街頭集会を開催することができた。
集会後、デモはシュプレヒコールをあげながら四国電力本店を包囲し、商店街へと進んだ。翌日には四国電力へ再稼働しないように申し入れを行ったが、最後まで説明責任を果たさなかった。
福島から来た黒田節子さんは「福島の声を言いたい。事故が起こるまでは世界一の技術だから大丈夫だと思っていたし避難訓練もしていました。論議は大事ですが起きてしまった事実をみるなら、原発はやめるしかない。世論調査でも6割が反対しています。東日本が大変なことになったから、世界の動きが原発廃止に向かっている。もし西日本で事故が起これば、食べ物も住む場所もなくなります。私には孫がいて福島に住んでいます。孫と未来のために私は原発を止めに来ました。四国電にこの質問状に書かれなかったことを聞いてほしい。健康被害、被ばく労働、廃棄物の問題。何万人もいる避難者の生活の問題、それが福島とって重要なのです。廃炉しかない、それが福島の声です」
火山列島に原発を立地したことが不適切だと指摘した高裁判決
12月13日、住民が求めていた伊方原発3号機の運転差し止め仮処分の抗告審で、広島高裁(野々上友之裁判長)は広島地裁の決定を覆し、運転を禁じる画期的な仮処分の決定をした。高裁では初めての判決だ。仮処分はただちに法的な拘束力を持ち、今回の決定を覆す司法判断が出るまで四国電力は3号機の運転を再開できなくなり今年1月に予定していた再稼働はできなくなった。
判決文で約130キロメートルしか離れていない阿蘇山の「破局的噴火」の可能性は否定できず、その場合火砕流が伊方原発に達し、はかり知れない甚大被害をもたらすと断定。伊方原発の立地そのものが不適切だったと認定した。
これまで地震・津波のリスクをめぐる訴訟が争点であったが、活火山の噴火が決定的な影響を与えるという判断は、世界で約150あるうちの111もの活火山を抱える火山列島日本に、40以上の原発を立てたことがそもそも間違いであることを明らかにしたものだ。火山噴火リスクを抱える対象原発は、桜島に近い川内原発や雲仙岳の玄海原発、島根原発、泊原発など多々ある。また活断層が日本列島を縦断していることも明らかとなっており、すべての原発を停止し廃炉にすることが政府、電力会社に求められる。(編集部・村上)