森友学園問題を考える会/豊中市議会議員 木村 真
会計検査院「値引き根拠なし」「文書管理がずさん」と報告
国会の要請を受け、森友学園問題の国有地叩き売り疑惑について調査していた会計検査院が、11月22日、「ごみの量・処理単価ともに根拠不十分で、値引に根拠なし」「必要な手続きを踏んでおらず事務処理が不適正」「森友側との交渉記録や積算資料がないなど文書管理がずさん」などとする報告書を提出した。
これまで、国会で「法令に則り適正に売却した」と繰り返し答弁してきた麻生財務相や佐川理財局長(当時。現在は国税庁長官に栄転)の答弁を否定するにも等しい厳しい内容である。
意味不明!「金額は示したが価格は言ってない」
当然、国会でも野党各党が追及した。9月、関西テレビが、国と森友学園との売却金額をめぐる生々しいやり取りの記録(音声データ)を報じたが、政府は当初、「確認するつもりはない」と完全無視の構えだった。
ところが、今国会で野党に追及され、録音が本物で、やり取りは事実だと認めた。音声記録の中の「籠池理事長がおっしゃるゼロ円に近づけるよう努力している」という財務省職員の発言が、「価格交渉はしていない」というこれまでの答弁と食い違うことを追及された太田理財局長は、「金額は示したが、価格は言っていない」と、禅問答のような意味不明の答弁。
さらに、数々の国有地売却案件の中で、(1)金額非公表、(2)売買前提の定期借地契約、(3)十年の分納、(4)瑕疵担保免責特約・・・は、過去に森友学園だけの極めて異例なケースであることも明らかに。
にもかかわらず、交渉記録は破棄し、決裁文書も残していないというのだから恐れ入る。安倍首相は、「私が調べて、私が適切であるということを申し上げたことはない」と、露骨な責任逃れ。一国の首相がこんなバカげた言い逃れをするとは。
市民をナメるのもいい加減にしろ! 安倍昭恵氏・首相自身の財務省への関与は明らか
森友学園への国有地貸与・売却が法令をねじ曲げる反則であったことは、これ以上なくはっきりした。財務官僚が独断でこんなデタラメな判断をするはずがないので、次の疑問は、背景に何があったのか、つまり「圧力」、あるいは「忖度」である。
首相夫人付の秘書(国家公務員)が、賃借料引き下げ等について財務省へ問い合わせていたことは確認済の事実。その後、籠池氏本人が「神風が吹いた」という破格の条件で売却されたことも事実。であるならば、普通に考えれば昭恵氏が関与したことは、まったく明らかだ。
さらに、国有地貸付合意書締結から数カ月後の2015年9月3日、安倍首相は迫田理財局長(当時)と異例の面談をし、その翌日に理財局長が大阪へ出向き、森友の工事関係者と打合わせしていることも、確認済の事実だ。首相の命を受けた局長が、破格の値引きについて相談していたのでは、と推察したくなるのも当然だろう。「私や妻が関与していたなら、総理大臣も国会議員も辞める」。安倍首相は国会答弁でこう言い切った。昭恵夫人の関与はもはや明らか、首相本人の関与も強く疑われており、さらに、これまでの国会答弁を覆す証拠が続々と…。将棋に例えるならもはや「詰み」。安倍首相は辞任するのが当然である。
隠蔽にうごめく政治家・官僚 幕引きは許さない
「森友問題」とはいったい何か? その本質は、実のところ、「国有地叩き売り」でもなければ「あり得ない学校設立の認可」でもない。子どもたちに教育勅語を暗唱させ、ヘイト発言が常態化する歪んだ愛国主義教育に、おおさか維新・政権中枢が肩入れした、ということこそが本質である。
財務官僚(とりわけ重要人物は、前理財局長の佐川氏ではなく、そのまた前の理財局長・迫田氏)、安倍昭恵氏、そして安倍首相。大阪では、松井一郎府知事と私学審会長の梶田叡一氏、そして維新の会。こうした人たちの関与が、ある部分ではすでにはっきりしており、別の部分でも強く疑われている。
「しかるべき人物に、しかるべき形で責任を取らせること」、これなくして「幕引き」などあり得ない。私たち「森友学園問題を考える会」は、(1)大阪地検特捜部に対して「財務省への強制捜査を!」「財務官僚を逮捕しろ!」、(2)国会に対しては「安倍昭恵氏の証人喚問を!」と、強く求めていく。
加計学園問題でも、あり得ない大学設置認可が強行され、開学へなりふり構わず突き進もうとしている。「モリカケ問題の幕引きは許さないぞ!」という、私たち市民の怒りの声を、もっともっと大きくして、ナメ切った態度を取り続ける安倍政権を退陣に追い込もう!