公安検事・福居幸一へ釈放要求 拍手と怒号の勾留理由開示公判
11月21日に本誌編集長が突然不当逮捕され、勾留が続いている。12月8日13時より、神戸地方検察庁・福居幸一検事に対して申し入れが行われた。集まった市民に、兵庫県警が「申し入れを行う3名以外は庁舎内に入れない」と締め出した。
寒空の下、申し入れに同行した人々がロビーで待たせてほしいというだけの話なのにもかかわらず、多数の警察官が入り口を封鎖し通行を妨害した。警察官の中には家宅捜索に参加した者もおり、抗議の声が飛ぶと姿を消した。
申し入れでは、「起訴はゆるさない、もし起訴されるようなら全国・全世界から非難が殺到するだろう」との声とともに約400名の賛同署名を提出した。
形だけの勾留理由開示公判
続けて14時から、隣の神戸地裁にて勾留理由開示公判が行われた。日本の現状においては検察が出した勾留請求を裁判所がそのまま認めるケースがほとんどだ。いったん逮捕されれば被疑者は最大23日間にわたり警察署に監禁され、連日取り調べを強要されることから、冤罪・人権侵害の温床であるとして国際的にも批判を浴びている。
こうした状況において、裁判所が行った勾留決定の理由を公の場で問い、勾留されている本人も意見を述べるという、せめてもの対抗手段が勾留理由開示公判である。
大法廷には数十名の傍聴者が各地から続々と集い、直前に行われた神戸地検に対する抗議申し入れの参加者も合流した。静まり返った法廷のなか、係員に付き添われて編集長が入廷すると大きな拍手が沸き起こり、編集長は両手をかかげてこれに応えた。
弁護士の追求に何も答えぬ裁判官 編集長は堂々陳述
公判では、勾留決定を行った毛受裕介裁判官が検察の言い分をそのまま繰り返し、「罪証隠滅のおそれ」「逃亡のおそれ」などがあることから勾留を認める、と述べた。「具体的にどのようなおそれがあるのか?」と追及する弁護士の質問に対しても、「答える必要はない」の一点張りをくりかえした。傍聴席から怒りの声が相次ぐと、毛受裁判官は退廷警告を乱発し、1名の傍聴者を係員に引きずらせて退廷させるに及んだ。
こうした態度に対し、弁護士も「裁判官の職責を放棄しており、あまりにひどい」と抗議した。
続いて弁護士からの意見陳述が行われた。在宅捜査で十分であり、勾留の必要などないにもかかわらず身柄を拘束していることは、政府に物言う存在である新聞社に対する弾圧であり、虚偽の自白の獲得を目的とする憲法違反の行為だと締めくくった。
次に編集長からの意見陳述が行われた(詳細は3面参照)。勾留生活中に新聞の新企画の着想も続々と得られ、職場復帰する準備は万全である、と元気いっぱいに述べた。被害者不在の「犯罪」で勾留をつづける合理的理由などない、と締めくくり、万雷の拍手のなか陳述を終えた。いずれの側に道理があるのか、だれが聞いても明白であるような公判であった。
全国から抗議集会に100人参加 多彩な連帯発言が寄せられる
19時から天満橋ドーンセンターで「人民新聞弾圧への緊急抗議集会」を開催した。緊急の呼びかけにも関わらず、会場は立ち見での参加者が出るほどの盛況で、約100名が結集した。
本紙編集部による経過説明をはじめ、同日に不当捜査を受けた「オリオンの会」(東京都内)から声明が出された。
この間の関西での不当逮捕・弾圧の当事者として、星川洋史さん(京都Xバンドレーダー「白バス弾圧」)や藤原俊秀さん(エル大阪借用弾圧)、下地真樹さん(関西大弾圧)、大谷隆夫さん(釜ヶ崎選挙権弾圧)が本件弾圧と自らの不当逮捕・弾圧の経験を交えて発言した。
また、趙博さん(浪花の唄う巨人・パギやん)や弘川欣絵さん(弁護士)、浅野健一さん(同志社大学教員)、山下けいきさん(茨木市議)、戸田ひさよし(門真市議)、高木りゅうた(高槻市議)さんらも本件の不当逮捕について発言した。 多くの執筆者も集まり、東京から文化欄の連載を始めた雪森ゆかりさんも駆けつけ、「生きづらさの問題を扱う人民新聞を大事にしたい」と発言した。実に多彩な人々が、新聞社弾圧に抗議していることが実感できる集会となった。
不当起訴弾劾!神戸地検へ集まろう 12/27 18時から
しかし編集長は11日午後、神戸地検により「詐欺罪」で起訴された。公安警察の言論弾圧・人権侵害を、怒りを持って弾劾する。引き続き、即時保釈へ全力で救援活動を展開する。
さっそく12月12日、不当起訴した神戸地検に対する緊急抗議および身柄勾留中の兵庫県警生田署に対する抗議・本人への激励行動が取り組まれた。地検前には約20名、生田署前にはきつい冷え込みのなか約40名が集まり、編集長の知人を中心に激励発言を続けた。
今後はすぐに保釈請求を行う予定だ。(編集部)
【抗議行動のお知らせ】
12月27日(水)18時に神戸地検前(神戸駅徒歩5分)に集合し、福居幸一検事に抗議し、隣の裁判所にも即時保釈を要求します。その後編集長が生田署にいれば生田署へ、神戸拘置所へ移されていたら拘置所へ激励に行きます。多くの参加をお願いします。詳細は編集部へ問い合わせ下さい。(編集部)