10月16日「電子インティファーダ」
アリ・アブニーマ
翻訳・脇浜義明
ヨーロッパ右翼とイスラエル右翼が反ムスリムで手を結ぶ
オーストリアのイスラエル大使は、イスラエル国会のアラブ人政党の追放に何の違和感も感じていない。オーストリアでは右翼が連立政権に加わる可能性が高く、ドイツの右翼と同じように、イスラエルと親交を結ぼうとしている。
先週、イスラエルでは表向きはハト派の労働党指導者アヴィ・ガヴァイが、「アラブ統一会派とは連盟関係を結ぶ気はない」と宣言した。
ガヴァイはリーベルマン国防相が率いる反アラブ極右政党イスラエル・ベイテヌ党と連立を組みたい、と言っている。
人種差別意識は、イスラエル社会では普通である。国民の20%を占めるパレスチナ人を政治舞台から排除しようというのは、シオニスト諸政党のコンセンサスであるから。
啓蒙主義的「人権」を代表するタテマエのヨーロッパの外交官がイスラエルの右翼を正当化するのは、今や普通になってきた。10月13日、オーストリア大使は、他のヨーロッパ諸国の大使たちと一緒に、ガヴァイと昼食し、「ガヴァイの考え方を支持する」と述べた。私は、同じくツイッターで、ガヴァイの反アラブ姿勢を問題にしたヨーロッパの外交官はいなかったのか、質問した。
それに対しオーストリア大使は、「統一会派の方だって、労働党と連立したくないはずだ」と答えた。差別されている国民を代表する正当が差別者を代表する政党と結合しないのは当然だが、その当然のことを持ちだして、ガヴァイのレイシズムをかばっているのだ。
〈前代未聞〉右翼オーストリア自由党がナチスの服装でイスラエルの街を行進
国連は、イスラエルのアパルトヘイト政策の実態を報告した。この報告書は米国の圧力で国連事務総長によってボツにされた。
報告書には、「イスラエルは、パレスチナ系国民がユダヤ人による差別的支配に組織的に反対することを、法律によって禁止し、扇動罪だと規定している」と名指しした。
「差別を永続化させる法律の廃止を求める声を上げることが法的に禁止されている脈絡の中では、名目的参政権は何の意味も持たない」。
オーストリア大使のイスラエルのレイシズム擁護は、予定されている自国の右翼政権のためのウォーミングアップであろう。
セバスチャン・クルツ率いる保守国民党が、《反ムスリム》を掲げる極右の自由党と連立政権を作る予定である。100議席を獲得したネオナチ自由党のハインツ・クリスチャン・シュトラーは、リクード党の招待でイスラエルを訪問、ヒトラーユーゲントの服装の若者隊を率いてイスラエルの街を行進した。
しかもその格好でホロコースト記念館を訪れ、イスラエルの「コシェル」(ユダヤ教で許される食べ物)を獲得したのである。次に彼は、アル・アクサ寺院(モスク)を破壊してユダヤ教神殿を建設しようとする運動の指導者イェフーダ・グリックをウィーンへ招待した。
このようにヨーロッパ右翼とイスラエル右翼が反ムスリムという点で手を結んでいるのだ。
ユダヤ人にとって悪夢であるはずの、ヨーロッパ右翼と。