選挙が終わった。私の選挙区でも、「野党共闘」を呼びかける市民集会などに来ていた候補者が、早々と「希望」に移った。小池氏と写ったポスターも貼っていた。小池の本性などはじめからわかっているのに当選第一なのかと、呆れた声も聞いた。そして落選。彼は政治人生を棒に振った。まだ若いのにもう誰も信用しない▼こうしてアベ政治は多数を維持した。しかし、数は力ではない。確信と信念をもつ者の行動力が、結局はすべてを決める。ファシズムに対抗する直接行動を、「みなで選挙」と投票行動に集約したことが、いちばん省みるべきことだ。野党共闘は直接行動の結果であって、それを自己目的化してもできない▼オーストリアでは、「希望」のような国民党が第一党、極右が第三党になった。排外主義と極右民族主義は、さまざまな形で日本や欧州にあふれ出してている。かつて反独裁闘争のなかで読まれてきたジーン・シャープの『独裁体制から民主主義へ』は言う―「この政治的な力の源泉はすべて、民衆側が政権を受け入れ、降伏し、従順することによっており、社会の無数の人々や諸機関の協力によって成り立っている」。そのとおりである。そして、これが現代の日本や欧州の現実となった。この状態を突破するのは、選挙ではない。行動の力である。(n)