ふくしま連帯労組 宗形修一
今回の選挙の分析は後回しにする。現状のみ報告します。
以下の選挙結果報告は毎日新聞(10月23日福島県版)の引用です。県内5小選挙区では、自民党前職3人が当選し、前回(2014年)と同数の議席を確保。1区は共産、社民の支援を受けた無所属(元民進党)の前職、金子恵美が自民党前職との一騎打ちを制した。
4区は、自民党前職の菅家一郎が、希望前職の小熊慎司を退け、2区は、元復興相の根本匠が希望新の医師岡部を大差で破り、3区は、無所属で出馬した元外相の玄葉光一郎(元民進党)が自民党に勝ち、5区は、現復興相の吉野正芳が希望・共産・社民を抑えた。
野党側は希望の3人が敗れる一方で、1区の民・共・社の共闘は昨年夏の参議院選挙に続いて再び成果をあげた。
県内の投票率は戦後最低だった前回(52.21%)を上回る(56.69%)だった。今回も成果をあげた野党共闘の1区金子恵美氏は、旧民主党公認だった前回、自民前職の亀岡偉民と約5000票差で次点となり、比例東北ブロックで復活当選した。今回、一度は民進から希望に合流する方針を決めたものの、安保関連法や憲法改正の意見の食い違いを理由に無所属を選択。共産、社民の支援を得て当選した。
従来の支持層であるリベラル派にとどまらず、幅広い支持を集める戦略をとり、「市民に最も近い政治家でいたい」と復活当選のない無所属で出馬。障がい者福祉や震災・原発事故からの復興も盛んに訴えた。金子は「今回は市民の皆さんの勝利。政治を市民の手に取り戻す大きな一歩だ」と語っている。
第3次安倍内閣が「仕事人内閣」として8月に誕生したが、新閣僚が県内の被災地や首長を次々訪問したものの、答弁の機会のないまま解散になった。「大臣が代わっても視察が繰り返されるだけだ」との声も聞かれた。
福島県の現況は全国の政治状況と無縁ではないが、帰還困難地域を次々解除して帰還を促しても、帰還者は3%~10%以下で、特に若者は帰っていない。特に第一原発がある双葉・大熊町は、住民の帰還がないまま、行政先行で復興が喧伝されている。住民がいない過疎地の事例の先取りが、この地に表れている。
「復興」とは、住民のこころの復興が伴なわないとダメなんだということが、県民には見えつつある。自公政権が被災地にいかに大きな建物をつくろうとも、それは巨大な遺物になるだけで、被災地の忘れられた人々になりつつある「福島県民」の思いを直視する政権を、わたしたちは構想し、作らねばならない。