証拠十分で楽しみだった臨時国会 安倍は追及逃れで解散

「森友隠し」の冒頭解散 森友疑惑追及の立役者に聞く

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木村 真さん(豊中市議)インタビュー

今回の衆院解散は「第一に森友・加計問題隠し」と言われている。森友疑惑追及のきっかけを作った木村真さんは、今治(愛媛県)の加計追及デモにも参加し、行動を続けている。森友問題のその後と、安倍政権がなぜ両学園への追及を恐れるのか、改めて話を聞いた。(編集部・園)

財務省が値下げ 昭恵も直接圧力

 ――国会閉会後も森友問題の追及を続けていますが、真相究明の進展と、解散劇については?
木村:報道では決定的な材料が出ています。4月後半から新たな事実が暴露され、9月にはNHKが、具体的な金額を示して財務省が森友に「土壌汚染の処理費として一億三千万円払えばいい」と言ったという事実や、籠池が「もっとぐーんと下げなければあかんよ」との発言に対し財務省職員が「ゼロに近くなるように我々も努力しています」と答えている事実も報道しました。佐川国税局長官は、「価格の交渉など一切していません」との国会答弁は完全に覆されました。
 これまで録音テープが明らかになっても「出所が不明で確認の必要はない」(菅官房長官)などと言ってきましたが、これも池田という財務省職員であることも明らかになっています。あげくに籠池・森友の側が「ゴミを理由に値引きするのは無理があるのでは」と言っているのに、財務省が「浅い所にあるから理由にできます」と返しています。財務省の側が積極的です。
 結局10年分納の支払いになりましたが、それも財務省からの提案で、異例中の異例です。ここまで材料が揃えば、麻生財務大臣も佐川さんも、逃げの答弁はできない。安倍昭恵の証人喚問も、野党は一致して要求したはずです。
 また、財務省の役人が独断でこんな無茶はできないので、財務省本省とも連絡を取り合い、財務省が無茶を認めたのは政治的圧力があったと考えるのが普通です。忖度ではなく直接的な圧力があったはずで、安倍昭恵側も動いたことを認めています。結果的に、籠池もびっくりするような安価契約になったのです。昭恵が何と言い逃れをしようと、関与の事実は明白です。だから、秋の国会が楽しみだと思っていました。
 そうしたら突然解散! さすがにそれはないだろ?と思ったら翌日には確定。そこまで審議が嫌なのか、とびっくりしました。「丁寧に説明する」と言ってきましたが、国会冒頭解散で丁寧も何もあったもんじゃありません。
 安倍の退陣に向かう解散なら容認できますが、こんな解散は許せません。解散は総理大臣の専権事項と言いますが、「総理といえども自分の好きな時に解散できる」など、憲法のどこにも書かれてないのです。
 安倍首相は、国会答弁で「森友問題に自分や妻が関わっていたら辞職します」とまで言ったし、加計では「総理のご意向です」と早期開学を促す総務省から文科省への文書も出てきています。保守層のなかからも「安倍さん、調子乗りすぎだ」という意見はかなり出てきています。内閣支持率も目に見えて下がり、都議選でも大敗した。だから森友・加計の追及を逃れたいのです。

議会政治の限界体制変革の話を

――森友への関与が疑われる維新も、選挙に出てきます。
 維新の森友への関与は濃厚ですが、まだ決定的な材料がありません。学校設立認可への強引なレールを敷いています。ただし、安倍首相に比べて地味な問題なのか、マスコミがあまり報じない。終わったかのような扱いですが、維新の会を当選させてはなりません。希望の党も同様です。
 9月23日には加計学園問題の地元・今治市で200人以上の集会とデモがあり、参加しました。愛媛は超保守県なので、珍しいデモです。集会も半分は地元住民の参加で、「別にいいじゃん」と思われていた雰囲気が「やはり問題だ」と変わりつつあります。安倍が直接関与した問題は大きい。主催者で地元出身の黒川敦彦さんは、しつこく追及すると宣言していたし、僕も森友問題でそうします。
 同時に、民進党の解党、希望の党への合流を見ていると、野党を含めた既存の議会政治の限界を感じます。例えば「左派ポピュリズム党」のような、地域での運動が中心となった新たな政治団体を作りたいとも思います。そこでは資本主義経済を根っこから変えるような、相続税100%、私有財産の廃止など、夢のあることを語ってもいいじゃないですか。本当は仲間たちとこういうワクワクする話を進めていきたかったのに、突然の選挙で吹き飛んでしまって残念です。もう一度、始めていきたいですね。

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