福井県おおい町・全員賛成の翼賛議会へ緊急抗議 地元住民は再稼働を望まない

福井県おおい町議会 緊急「原発再稼働同意」手続き

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 福井県おおい町議会は9月8日、原子力発電対策特別委員会と全員協議会を開いた。会では、関西電力大飯原発3、4号機の再稼働に同意することを正式決定し、中塚寛町長に伝達した。中塚町長は「議会の判断を重く受け止める」と述べ、同意の方針だ。再稼働に向けた地元同意段階の第一段階が終わったことになる。
 全協に先立って開かれた原子力発電対策特別委は、浜上雄一議長を除く12人で構成。午後1時半に開会し、委員の意見聴取を始めた。委員全員が再稼働に同意する意見を述べて、同意方針を決定した。委員長・中本も賛成する意見を述べ、「住民の意見を議会で集約した結果、再稼働への理解はおおむね成されていると判断する」との報告案をまとめ、全員協議会で報告案を確認、再稼働への同意を決めた。
 同意の文章では、(1)新規制基準に適合した安全性 (2)国のエネルギー政策における原子力の位置づけや広域避難対策 (3)現場での安全対策実施状況 (4)再稼働に対する町民の理解の4項目を、町民説明会や視察などを通じて確認したとしている。地元6団体から再稼働による経済活性化を求める要請が出されたことも、同意判断の理由に挙げた。

「原発には詳しくないが」と賛成!?

 これに対し、「若狭の原発を考える会」の呼びかけで集まった42人の反原発団体メンバーが「大飯原発の再稼働を許すな」などと書かれた横断幕を掲げ、役場前で抗議した。
 特別委の冒頭、委員が再稼働に同意する意見を述べだしたため、傍聴者の一人が次のように激しく抗議した。
 「町民の安全を奪うな。地元住民は再稼動に反対している。フクシマ事故の被害を忘れたのか。フクシマ事故は収束していない。子どもの甲状腺がんが関東各県でも見つかり、がん、白血病、心筋梗塞など、さまざまな重い被害が増えている。福島や東北だけではない。関東すら、もう住めない場所になった。しかし国は避難地域を次々解除し、福島の避難者すら切り捨て続けている。挙句の果てに『悪質避難者』扱いだ。お金がない、弱い立場の人から、線量の高い地域へ戻らざるを得なくされている。被ばくの被害は、広島・長崎に落とされた原子爆弾で証明されている。
 さらに、被爆国であるにもかかわらず、核兵器禁止条約に批准しないのはなぜか。原発を再稼働するのはなぜか。全ては核武装のためだ。安倍は『戦争国家』として世界に撃って出ようとしている。そのため核武装を至上命題としているのだ。おおい町議会は戦争に加担するのか」
 それをはじめとして、複数の傍聴者が次々と抗議の声をあげだした。抗議者は退廷を迫られ、結局、特別委は12人の委員がそれぞれ「なぜ再稼働に同意するか」を述べる場となり、全会一致で決議された。
 傍聴した女性は「全会一致は不気味だった。反対する委員が誰もいない。酷かったのは、『自分は原発には詳しくありませんが』と前置きしたうえで同意を述べた委員までいたことだ。また、『地元住民は再稼働による経済の活性化を望んでいる』と述べた委員もいた。地元住民が再稼働を望んでいないことは、日頃ビラ配りで交流している私たちがよく知っている。議会に私たちの声が届かなくなっている証拠だ」と、議会が翼賛体制に陥っていることに危惧を示した。
 同会代表の木原壮林・京都工芸繊維大名誉教授は、町議会が同意判断の拠り所とした新規制基準について「安全性を担保するものではない」と指摘した。また、「各地で原発再稼働が目論まれる今後、現地行動がますます重要になってくる」と呼びかけた。
 なお、同会は9月18日の週にも現地行動「MOX燃料搬入を許さない!現地集会」とデモを予定している。7月6日にフランスを出発したMOX燃料が高浜原発に到着するためだ。搬入されるMOX燃料は16体で、2018年の高浜原発4号機の定期検査の時に挿入されるといわれている。そこで、燃料搬入に抗議するために現地行動を行う。本紙発行時点で終了している可能性もあるが、詳細は若狭の原発を考える会:090-1965-7102へ。(編集部・村上)

 

 

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