丸尾牧さん(緑の党・兵庫県議)インタビュー
政務活動費の架空請求疑惑で、辞職の意向を示していた神戸市会自民党議員団の橋本健市議(37)が、8月29日に辞職した。橋本市議は2010~14年度に計8回、宍粟市の印刷仲介業者に市政報告の印刷、計720万円分を発注したとして政活費を受け取っていた。業者は『橋本市議の指示で実態のない領収書を作って渡した』と証言し、架空請求が発覚した。
15年度に、宍粟市の業者への直接発注に変わったが、これは自民党神戸による政活費の不正流用発覚で制度が厳格化された直後のことだ。神戸市会で政務活動費の不正使用を巡って、自民会派議員の辞職が相次いでいる。不正流用事件で8月、「自民党神戸(神戸市自民党の前団体)」の3市議も辞職した。「自民党神戸は組織ぐるみで政活費を裏金にしていた」と認めたのは、市会自民党議員団の安達和彦団長(28日)だ。政務活動費の多様な使い方は認められるべきことだが、自民党組織ぐるみの流用であれば、一議員の辞職で追及を終わらせてはいけない。
国会は安倍支配の強化により翼賛化している。共謀罪の強行採決しかり、議会自体が機能しなくなっているのだ。同様に、地方も長期政権で腐敗している。地方議員は市民の注目を集めにくいため、横領という露骨な形で問題が表面化したにすぎない。この事件の経緯と問題点について明るみに出し、腐敗した長期独裁政権自体を解体せねばならない。
そこで、兵庫県議会議員の政務活動費不正流用問題を追及し、不正使用防止策強化に取り組む、丸尾牧(まるおまき)兵庫県議に話を聞いた。(編集部・村上)
よく使われる手口広報費の不正流用
Q1:今回の事件の背景は?
チラシ印刷に政務活動費の不正流用が各地で起こってきたわけですが、同じく悪質な内容で、大きな問題です。
広報費は、政務活動費の不正流用に、よく利用される手口です。まず、印刷業者を丸め込めばいいだけなので簡単であること。また、一件当たりの金額が高く設定できるので、一度に多額を詐取できるのです。自民党では同会派の複数の議員が不正をし、在宅起訴されています。自会派で組織的に不正行為を行っていた可能性が高いと思います。
Q2:今後の対策は?
できる限りの情報を提出するよう定め、会派からの事後払いへ変更しました。自会派で組織的に不正行為を行っていた可能性もあります。
Q3:起訴に至るのですか?
起訴される可能性は十分あります。自民党神戸のケースでは、政務活動費を会派でプールし、市議選の立候補者に配っていました。これに対し、市民オンブズマン兵庫は疑惑解明が不十分として、詐欺容疑などで刑事告発しました。
過去を振り返ると、野々村元兵庫県議の政務活動費の不正使用では、約900万円の詐取で検察は起訴しました。このような地方議会の問題で、検察が起訴することはなかったので、画期的な判断でした。
自民党神戸に所属していた議員の政務活動費については、600万円を超える不正使用で、検察は起訴しています。裏金作りに釘を刺したと見ることもできますが、橋本
市議の約720万円の詐取が確認され、検察が悪質だと判断すれば、他の事例を調べた
中で、起訴に持ち込むことは十分に考えられます。
全国でも不正市会から変革を
全国の議会でも不正が発覚している。14年、徳島県議会では、ベテラン議員が領収書を偽造し、架空の県政報告会の経費を受給し辞職。東大阪では、後援会活動など政務活動以外にも使う事務所の賃料を規定以上に支出したとして、議長が辞任している。党や会派など、組織ぐるみで行っているようだ。
また、金額も市民の予想を超えている。神戸市議会で発覚した不正流用の総額は、推定3447万円だ。
今年は森友・加計学園が大きく問題化した。国政から地方政治までを貫く権力の私物化は許されない。国政に比べて関心が低くなりがちだが、市民が地元の市会に対しても常に監視し、安倍自民党の独裁政治を変えていくことが求められている。